夏休みの宿題をやらない小学生と
同じ状態になっていた部課長さん

というのは、経営戦略そのものは変わらないが新体制に合わせて戦術を変えないと駄目で、以前の戦術で戦ってきたプレーヤーたちはマネジメント層に上がったことによる職責の変化も重なり、二重の大変さだったからだ。毎週毎週、うちの事業目的と戦略について、また各自の目標についても、一人1時間割いてみっちりすり合わせをしているにもかかわらず、中々変化が見られない。決めたことを次までに必ず実行してくる人が少ない。「他の業務で忙しくて」とか、「この部分だけ抜けてました」とか、もっともらしい理由を付けるのは上手だが、いつまでもそれじゃ困る。
それで、半年続けてきて20回目で、ふと思いついて、全員の手帳を見せてもらった。そうしたら、見事にスカスカ(笑)。それでわかった。なぜ決めたことが実行されないのか。目標があるだけで、行動計画を立てていなかったんだよね。取引先との約束は書き込むけど、自分のスケジューリングができていなかった。
例えるなら、夏休みの宿題をやってこない小学生と一緒。「二学期が始まる日に全ページ済ませた『夏休みの友』を先生に提出する」という目標はわかっているけど、「7月中にここまでやる」とか「これは3日にわけてやる」とかの計画を立てないから毎日なんとなく過ごしてしまい、最終日に急に切迫感が湧いて、慌てて片付ける。やっつけだから適当だし、うっかり忘れていたことにしてわざとやらないページもある。結局、目標は達成されない。
スケジューリングはスキルの一種
経験を通じて身に着けさせる
スキルの問題とわかれば対処は簡単だ。ミーティングのときに手帳を出させて、今日決めたAは何日の何時から何時にやる、Bはこの日の何時にやるというふうにして、その場でそれを手帳に書くなり何なりして、毎週月曜日に1週間の行動計画をスケジューリングすればいいだけだ。
それをミーティングで繰り返していけば、彼ら自身の中で、「こういうことに対しては自分は苦手だからこれくらい時間がかかるんだな」とか、「こういうことは案外得意らしいから次回は所要時間をこんなに多く見積もらなくていいな」というペース配分もわかってくる。
そうやって「こういうこと」のバリエーションを増やしていって、どんなミッションに対しても「このこととこのことの組み合せだから、自分の場合はこういうスケジュールを組めば完遂できる」という見立てを自分で付けられるようになれば、それがスケジューリングスキルを習得したということだ。難しい話じゃない。
原因を属人化する限り問題は解決しない
組織の成長も、上司の管理能力向上もない
だけど、そこでその人たちの人間性や能力の問題にしていたら、それこそいつまでたっても組織の生産性は上がらないと思うよ。
問題の原因を属人化している限り、組織は成長しない。上司の人材育成・管理能力も向上しない。今回の気付きだって、彼らの性格や能力の問題にせず、「どこでつまづいているか」という視点であくまで行動ベースで原因を探したから手帳を見せてもらう着想に至ったのであってね。これがもし、「あいつが馬鹿だから」とか、「上司の俺をなめてるから改まらないんだ」とか思っていたら、「スケジューリングスキルを未習得」という単純かつ比較的対処可能な問題に気付くことはなかっただろう。
まぁ、とはいえ、これも時代だよね。それこそ私の世代(今年60歳)までは、スケジューリングスキルなんてものは、例えば出張のときに自分で行き方を工夫して会社支給の出張費を何千円か浮かせて、それで飲みに行くような経験を通じて磨いたものだが、そして会社も、それくらいは目をつぶって見逃してくれたものだが、今はコンプライアンス違反で一発アウト。下手をしたら業務上横領で訴えられる。
旨みがないのにスキルだけ身に着けろというのは随分虫がいい話じゃないかと個人的には感じるが(笑)、しょうがない。国が働き方改革でそういう世の中に変えていってるんだもの。順応するしかないよ。
仕事の品質が自然に上がる
「分割&ブラッシュアップ法」がお勧め
再度夏休みの宿題で例えると、残り一日になって切迫した状態というのは、仕事でいえば期日が迫ってドーパミンが出まくっている状態だ。ご存じの通り、ドーパミンは、試練や課題を乗り越えたときの達成感のもとになる脳内ホルモンだ。仕事でいえば、絶対間に合わないと思っていたところから必死で頑張って期日に間に合わせたようなケースで分泌され、そのときは何とも言えない快感に包まれる。
でも、その快感を味わいたいがために仕事を先送りし、スケジュールぎりぎりになってから一気にまとめて片付けていたら、ろくな仕事ができない。そうではなく、期日が余るくらい余裕を持たせる。かつ、あえて分割して進める。そうすると、2回目をやる際に1回目のぶんを見直してブラッシュアップする習慣が自然と身に着く。そうやって仕事の質も上げていくんだよ。
いわゆる“デキる人”というのはこういうことを無意識にやっている。皆さんも、部下に仕事の進め方を教える際は今回の話を参考にしていただけたら幸いです。
事務局 滑川ショッピングセンター
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vol.104 何十年も一緒にやってきた部下なのに、新たな発見がまだあった
(2025.6.18)
著者プロフィール
佐藤 勝人 Katsuhito Sato
サトーカメラ代表取締役副社長/日本販売促進研究所.商業経営コンサルタント/想道美留(上海)有限公司チーフコンサルタント/作新学院大学客員教授/宇都宮メディア.アーツ専門学校特別講師/商業経営者育成「勝人塾」塾長
経 歴
栃木県宇都宮市生まれ。1988年、23歳で家業のカメラ店を地域密着型のカメラ写真専門店に業態転換し社員ゼロから兄弟でスタート。「想い出をキレイに一生残すために」という企業理念のもと、栃木県エリアに絞り込み専門分野に集中特化することで独自の経営スタイルを確立しながら自身4度目となるビジネスモデルの変革に挑戦中。栃木県民のカメラ・レンズ年間消費量を全国平均の3倍以上に押し上げ圧倒的1位を獲得(総務省調べ)。2015年キヤノン中国と業務提携しサトーカメラ宇都宮本店をモデルにしたアジア№1の上海ショールームを開設。中国のカメラ業界のコンサルティングにも携わっている。また商業経営コンサルタントとしても全国15ヶ所で経営者育成塾「勝人塾」を主宰。実務家歴39年目にして商業経営コンサルタント歴22年目と二足の草鞋を履き続ける実践的育成法で唯一無二の指導者となる。年商1000万〜1兆円企業と支援先は広がり、規模・業態・業種・業界を問わず、あらゆる企業から評価を得ている。最新刊に「地域密着店がリアル×ネットで全国繁盛店になる方法」(同文館出版)がある。Youtube公式チャンネル「サトーカメラch」「佐藤勝人」でも情報発信中。
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