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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

 
 

“今”に夢中になることで
経験を積み重ねて前へ進む

 
ドラマや映画、舞台と様々な場で活躍する俳優の宇梶剛士さん。10代の頃は暴走族に入り、総長にまで登りつめるほど、荒れた時代を過ごしていた。少年院に収容された経験を持つ宇梶さんが更生し、俳優を目指すきっかけとなったのは、1冊の自伝著書だったという。「とにかく“今”に夢中になっていた」と振り返る宇梶さんは、今日も変わらず“今あること”に夢中になり、前進を続けている。
 
 

チャップリンの自伝と出合い俳優を志した

 
生まれつきの不良なんていうのは、いないんですよね。みんな挫折などによって、気持ちがねじれた結果、不良になってしまう。そのねじれた気持ちにどうにか抵抗しようとしてあがいていて、僕の場合そのあがきが、ケンカであったり、オートバイで走り回ることだったりしたんです。僕の中で一番ダサい歴史ですよ。結果、少年院にまで流れ着いてしまった。
 
少年院で、これからどうしたらいいんだろうと思っていたときに、母がチャップリンの自伝を送ってくれましてね。僕はもともとチャップリンが大好きで、出演している映画もほとんど見ていたんですよ。それで自伝を読んでみると、それまでチャップリンに抱いていた「華やか」とか「全てがうまくいっている大スター」というイメージが覆されました。すごく孤独で辛い幼少期を過ごしていたことを知ったんです。
 
大きな苦しみや悲しみを抱えながらも、人々に笑いや感動を与える仕事をしてきたチャップリンの生き方に、心が揺さぶられましたね。それまで抱えていた、どうしようもない悔しさや怒りが、揉み解されたように感じたんです。不良って、「なめられてたまるか」とか「俺は負けない」という、気持ちの鎧を着ているんですよ。チャップリンの自伝を読んだことによって、その鎧を、自然に脱ぐことができました。
 
「もう、不良はなしだ」と思いましたね。そうして、どうやって生きていこうかと考えたときに、人に“何か”を訴えられる仕事がしたいと思い、俳優を目指すと決めました。夢を懸けたって言えばかっこいいけど、正直なところ、その目標にしがみついたという感じかな。
 
 
 
 
 

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