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◆ 江戸の下町で誕生したガラス細工

 
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鮮明な文様が美しい江戸切子のグラス
 まばゆい光をちりばめて、私たちを魅了するガラス細工 「江戸切子」。今回はその歴史や魅力を探りながら、東京・亀戸にある 「江戸切子の店 華硝 (はなしょう)」 を訪ね、その魅力を紹介しましょう。
 江戸切子の歴史は江戸時代後期にさかのぼります。お江戸・日本橋で鏡や眼鏡を製造していた 「加賀屋」 の手代・皆川文次郎が文政年間 (1818-1829) に大阪で近代的なガラス製法を習得。江戸に戻った1834年(天保5年)、木の棒や金剛砂を使ってガラスの表面を磨く江戸切子の手法を編み出したのが始まりです。
 そして明治に入ると、維新の混乱を逃れてきた旧薩摩藩の職人たちが薩摩切子の手法を持ち込みました。薄く透明なガラスの表面を磨いて紋様を描く江戸切子と、着色した厚いガラスを深く削る薩摩切子。両者が融合することで、薄いガラスにくっきりとした紋様を彫る現在の江戸切子が誕生したのです。
 
 

◆ 2代目の決断で下請けから脱却

 
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店舗内に併設する工房で、職人がカットから磨きまですべて手作業で仕上げていく
 「江戸切子の店 華硝」 は、今も江戸切子の職人が集まる亀戸にあります。もともとは工房のみだったのですが、1990年にショールーム兼店舗をオープンしました。
 母体となる工房は熊倉硝子工芸といい、1946年の創業。群馬県から上京し江戸切子の職人になった先代の熊倉茂吉さんが設立したもので、当時は大手ガラスメーカーの下請けをしていたそうです。
 ところが、新進気鋭の志に富んだ現代表の熊倉隆一さんは、大胆にも事業方針を転換。そのあたりの事情について、娘で取締役の熊倉千砂都さんが語ってくれました。
 「江戸切子の業界は、大手メーカーの注文を受けて制作するだけの下請けでいるのが当たり前の世界でした。しかし父は、『いくらいいものを作っても、下請けのままでは向上できない。自分の技術で自由にモノづくりをして、どれだけ売れるのか見てみたい』 と考え、この店をオープンしたのです。江戸切子の工房が直営店を持つのは初めてのことでした」
 以来、伝統的な技術や意匠を保ちつつも、常に新しい試みを続けてきた 「華硝」 の江戸切子。その特徴としては、「手磨き仕上げ」 と 「オリジナル文様」 があげられます。 
 
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ショールームでは間近に江戸切子の美しさに触れることができる
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陽光が差し込む明るいショールームに色とりどりの製品が並ぶ
 
 
 
 

 

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