B+ 仕事を楽しむためのWebマガジン

スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

 

“良い加減”を見つけ出し
楽しく仕事を続けていきたい
俳優 渡辺いっけい

 
7月6日からTHEATER MILANO-Zaにて上演される舞台『泣くロミオと怒るジュリエット2025』。ロミオの父親代わりであり、町の診療所を営むローレンス役を演じるのが、俳優の渡辺いっけいさんだ。キャストは全員男性、セリフはすべて関西弁というユーモアに溢れたロミオとジュリエット。「すごくおもしろい作品なので、ぜひ劇場で実感してほしい」と語る渡辺さんに舞台の見どころや、仕事に対する取り組み方などをお聞きした。
 
 

思い入れのあるロレンス神父役

 
『泣くロミオと怒るジュリエット』の初演は2020年。僕は初演のメンバーではありません。もともとローレンスを演じていたのは段田安則さんという名優ですから、オファーをいただいたときは「僕なんかで良いのだろうか」と少し悩みました。でも、お声がけいただいた嬉しさが勝ったので引き受けたんです。
 
実は、僕の初舞台は『ロミオとジュリエット』なんですよ。そして演じたのが、『泣くロミオと怒るジュリエット2025』でのローレンスにあたる、ロレンス神父です。というのも、僕はもともと大阪芸術大学の舞台芸術学科で芝居を学んでいました。授業の一環で、一年間かけて『ロミオとジュリエット』の稽古をして発表するという実習があったんです。そのとき、僕に与えられた役がロレンス神父だったんですよ。
 
でも、与えられた役と言うのは語弊があるかもしれません。もともとロレンス神父役だった子が、途中で学校を辞めてしまいまして。当時の僕は先生から「スタッフの道もあるからな」と励まされるほど落ちこぼれで、役をもらえていなかったんですよ。だから、辞めた子の代わりに僕がロレンス神父を演じることになりました。
 
そうして稽古を重ねて、発表に至ったのが僕の初舞台だと思っています。観客は大学の先輩や先生といった身内の方々でしたけどね。実はその中に演出家の、いのうえひでのりさんが3年生の先輩としていたんですよ。そして僕の芝居を見て「あいつ変なやつだなあ」と覚えてくださったようでして。その後、劇団☆新感線に呼んでいただくきっかけになりました。そういった意味でも、ロレンス神父は思い入れのある役なんです。
 
授業でロレンス神父を演じたのはおよそ40年前。当時は訳もわからないまま、とにかく覚えたセリフを言っていました。この40年で、さまざまな現場を経験して得たものも少しはありますから、今の僕ができるローレンスをしっかり演じたいですね。まあ、『泣くロミオと怒るジュリエット2025』で演出家の鄭義信さんが描くローレンスは、原作のロレンス神父と違ってあまり立派な人ではありませんけど(笑)。
 
 
 
 
 

スペシャルインタビュー ランキング