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皆さんこんにちは、佐藤勝人です。暑いね~。もうすっかり初夏だ。とか言っていたら記事が配信される頃には梅雨に入って冷たい雨が降っているかもしれないから、気が抜けないけど(笑)。
 
 

入社してわかった実力不足
募集側の期待は裏切られた

 
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「自分の頭で考え、実行する人材」をこの松下村塾で
育てた吉田松陰。私が尊敬する歴史上の人物です
なぜ天気の話から始めるかというと、最終的にはその街に住む人間が勘と経験値と想像力でそれぞれ予想するより他ないものの代表が「天気予報」だと思うからだ。いくらAIを始めとするシステムが賢くなったって、自分の頭でああでもないこうでもないと試行錯誤してきた結果得た予測には敵わない。精度は同等かもしれないが、本人にとっての価値という面では、考える作業をシステムに丸投げして得られる予測は、自分で考えて判断した予測には敵わない。
 
このことを痛感する出来事が、最近支援先であった。そこは飲食店で、日常的に小麦粉を使う。パートさんを入れても10人かそこらの中小の飲食店だ。職人さんは毎朝小麦粉を軽量して、練って、打って、寝かせて・・・というところから作業をしている。
 
その店が正社員を募集したところ、東京にある同業の大手チェーン店で働いていたという30代の若者が応募してきた。家の事情で奥さんと子どもと一緒に引っ越してきたばかりで、ちょうど仕事を探していたのだという。
 
大手にいた頃の経歴を聞くと、職人として十分なキャリアがあり、在職中の後半は店長も務めて、部下を60人から管理していたという。店のほうはびっくりした。あの超有名な大手で、職人をやりながら店長の経験もある。うちにはもったいないくらいの人材が来てくれた、そう思って採用した。
 
――ところがだ。詳細は省くが、まったく使えないことがわかった。「使えなかった」と過去完了形にしないのは、彼がまだその店で頑張っているからだ。それも現状で使えない原因というのが、本人よりも彼がいた環境のせいだと思うからだ。
 
彼の職人としての腕は機械で自動化した作業工程の上に成り立つもので、イチからつくらないといけない中小店では中途半端すぎた。また、人の管理についても、60人引き連れていたといってもせいぜいExcelに勤怠を入力するだけで、問題が起きた箇所にヘルプで入って八面六臂の活躍をするという類の能力は皆無だった。原材料の仕入れに関しても、カレンダーを見て「ここに連休があるからお客さんが増えるだろうから、今日時点で小麦粉はこれくらい減っているから何日に何キロ発注すればいい」と判断する力はなかった。大手での店長時代は入力すれば全部システムが判断してくれていたからだ。
 
 

職業人生の前半は中小で働くのがお勧め
80歳定年時代に備えよう

 
この話を聞いて、「やっぱり大手出身者はダメだな!」とか、「楽な仕事で給料だけは立派だったんだね。ざまあみろだ」とか、表現はともかくとしてそんなニュアンスの感想を持った人は少なくないだろう。彼は今そういう目を跳ね返すため頑張っているわけだけど、私はといえば、ちょっと違う感想を持った。「これからの時代は中小企業で職業人生をスタートしたほうがいいな」と思ったんだよね。
 
“人生百年時代”に入り、国は今、働く人たちの定年年齢を80歳に延ばそうとしている。今はまだ65歳とか70歳だが、これから社会に出る若い世代がその年代に差しかかる頃には、75歳とか80歳まで働くのがデフォルトの世の中になっているだろう。
 
そうすると、大手に入ってシステム任せで仕事が回る環境で楽して収入を得ることを覚えるよりも、体力も吸収力もある20代~30代のうちは中小企業で働いて、自分の頭で考えて手を動かして、他人の困りごとにもめんどくさいと思いながら共感して、働く人としての総合力を鍛えたほうが職業人生の後半に有利だ。稼ぐ力、新しいことに挑戦する意欲、自分で勉強して学ぶ習慣、etc.・・・。こういったものの基礎が身に付くからだ。
 
 

大手企業で「その他大勢」に入れられると
職業人生の後半が不利になる

 
このことはその彼を見て思うだけじゃなくて、私自身の体験でもあるんだよ。何を隠そう、私は実家のカメラ店を兄と一緒にカメラ写真専門店にして再スタートさせた当初は、大卒の大手企業の新入社員にオツムで負けていた。大手カメラメーカーの新米営業マンがうちに来るんだけど、話しているとわかるんだよね。いい大学を出た頭のいい人たちだということが。
 
でも、その人たちは5年経っても10年経っても、最初うちに来始めた頃のまま、レベルが変わらないんだよ。その間にこっちは、予想もつかないトラブルが起きるわ、必要に迫られて新しい仕事を覚えるわで、どんどんレベルが上がっていった。人を育てることも使うことも覚えた。けど、彼らは、いつまで経っても平社員で、相変わらずルートセールスに毛が生えた仕事しかさせてもらえていなかった。
 
もちろん、全員がそうだとは言わない。飛び抜けて優秀な人は早々に役職を付けられ、いろんな業務を経験させられて社運を担う人材に育っていく。そういう人は中小で鍛えられた人と遜色ない実力を身に付けるだろう。
 
でも大半は、「その他大勢」のまま年齢だけがかさむ。しかも大手社員のプライドは捨てられないから、社会的評価と周囲の人たちの実際の評価との差が広がり、職業人生の後半で新しい会社に移っても他人に教えを乞えないわ、自分で勉強もできないわで、じり貧に陥っていく。
 
どっちがいいか考えたら――いいというのは戦略的に有利という意味も含めてだけど――、答えは決まっていると思うんだよね。
 
 

中小企業がシステム化を進めるなら
成長を早めるために使うべし

 
別に私はここでありがちな中小企業礼賛をしたいんじゃない。中小もシステム化・仕組み化は取り入れるべきだ。でもそれは、10年かけて積むのが普通だった経験値を5年、4年で積めるようにする類の、成長を早めるためのシステム化・仕組み化であるべきなんだ。
 
具体的には、例えば店長がパートさんに助けを求められてヘルプに入ったとする。その時に、パートさんと一緒に手を動かしながら、「あ、ここか。ここがこうなっているから今呼ばれたこの問題が起きやすいんだな」と原因を見つけやすくするためのシステム化であり、自分の机に戻ってから解決策を考える余裕を担保するための仕組み化だ。
 
そういうシステム化・仕組み化を進めていけば、今は中小より大手上場企業が若者の就職先として人気だけど、いずれ逆転現象が起きるんじゃないだろうか。令和世代はある面で昔の世代より賢いから、長期的に見てそのほうが有利だということになれば、自然にその選択をする人が増えてくると思う。
 
そうなってくれば私たち中小企業勢は心強いし、そうなる未来を楽しみに、頑張っていきたいよね。
 
 
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繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート
vol.68 システム化に突き進む大企業、労働集約的な面が残る中小企業。
働く人としての基礎を身に付けるうえで有利なのは

 著者プロフィール  

佐藤 勝人 Katsuhito Sato

サトーカメラ株式会社・代表取締役副社長/日本販売促進研究所・商業経営コンサルタント/想道美留(上海)有限公司・チーフコンサルタント/作新学院大学・客員教授/宇都宮メディアアーツ専門学校・特別講師

 経 歴  

1964年栃木県宇都宮市生まれ。1988年、兄弟とともに家業のカメラ店をカメラ専門チェーン店に業態転換させ、商圏をあえて栃木県内に絞ることにより、大手に負けない経営の差別化を図った。以来、「想い出をキレイに一生残すために」というコンセプトを追求し続けて県内に18店舗を展開。同時におちこぼれ社員たちを再生させる手腕にも評価が高まり、全国から経営者や幹部リーダーたちが同社を視察に訪れている。2015年からはキヤノン中国とコンサルティング契約を結び、現場の人材育成の指導にあたる。主な著書に『売れない時代はチラシで売れ』『エキサイティングに売れ』(以上同文館出版)『日本でいちばん楽しそうな社員たち』(アスコム)『一点集中で中小店は必ず勝てる』(商業界)『断トツに勝つ人の地域一番化戦略』(商業界)『モノが売れない時代の「繁盛」のつくり方』(同文舘出版)など。新刊の『地域繁盛店がリアル×ネットで“全国繁盛店”になる方法』(同文舘出版)が好評発売中。

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(2022.6.15)
 

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