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「企業経営で知っておきたい税金etc」

 
 また、資本金1億円以下であると、「特定同族会社の留保金課税制度」の対象外となります‐表の4。この留保金課税制度とは、結果的に税率が数%上昇しますので、該当する会社にとっては大幅な節税になることがあります。
 
さらに、資本金1億円以下であると、連載初回で紹介した「欠損金の繰戻還付制度」を適用できるのもありがたいです‐表の5。この制度では、欠損金つまり赤字が生じたときに、その赤字を前事業年度の所得と相殺させて、納付済みの前年の法人税額を戻してもらうことができます。
 
 資本金1億円以下の特典はまだ他にもあります。
現在、法人事業税については「外形標準課税」というものが導入されていて、赤字でも税金が発生することになっています。ただしこれは、資本金が1億円以下の会社は対象外となっています‐表の6。今後は改正されるかもしれませんが、現状ではこれも資本金1億円以下の企業ならではのメリットといえます。
 また、法人道府県民税及び法人市町村民税の均等割税金も、資本金が1億円以下のほうが有利になっています。具体的には、東京23区にのみ事務所がある場合で110,000円(従業員数50人超は330,000円)均等割税金を削減できます。‐表の7
また、これは有利かどうかは何とも言えませんが、資本金1億円未満であると、税務調査の管轄が原則、国税局から税務署に移ります‐表の8。
 
 
 
■ 減資の手続きと、大局的見地からの判断の勧め
 このように、資本金を1億円以下にするメリットを考えてくると、特に目的なく資本金が1億円を超えてしまっている企業は、資本金を1億円以下にする「減資」手続きを検討してみるのもいいのではないでしょうか。ちなみに減資の手続きというのは、株主総会の特別決議や債権者に対する公告等が必要なものの、期間は約2ヶ月、費用は約25万円で可能です。詳しくは司法書士に相談されるとよいでしょう。
 ただし、減資は、税制上等の特典にのみ目を向けて行うべきものではありません。特に、取引先、金融機関、株主、従業員等に充分配慮して、最終的には大局的見地から判断されるべきであることを付け加えておきます。
 
 今日のこの話が経営者の皆様のお役に立つことができれば幸いです。
 
 
 
 

 執筆者プロフィール 

今村 仁 Imamura Hitoshi

マネーコンシェルジュ税理士法人 代表社員

 経 歴 

京都府京都市出身 立命館大学経営学部企業会計コース卒 会計事務所を2社経験後、ソニー株式会社に勤務。その後2003年今村仁税理士事務所開業、2007年マネーコンシェルジュ税理士法人に改組、代表社員に就任。税理士・宅地建物取引主任者・CFP等ベンチャー・起業家・中小企業の参謀役税理士(SZ)として、会社設立から株式公開支援まで幅広くサポート。大阪・京都・神戸・滋賀・奈良・東京・横浜を中心に活動。マネーコンシェルジュ税理士法人(旧今村仁税理士事務所)

 オフィシャルホームページ 

http://www.money-c.com/

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