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前回に引き続き、良い節税対策として「資金不要の永久節税対策」をご紹介します。3回目の今回は、
「教育訓練費の税額控除」「1人当たり5,000円以下飲食交際費の非課税」を活用する方法です。
 
 

従業員教育が節税になる!?

 まずは、「教育訓練費の税額控除」。これは正式には「中小企業者等における教育訓練費の税額控除制度」といいます。この制度は、従業員などの成長を期待して会社がセミナー費用など教育訓練費を負担した場合に、それにかかった教育訓練費の10%前後を税金から控除してくれるものです。
 
 実はこの制度、平成20年度税制改正前の旧制度では、当期の教育訓練費の金額が過去2期の平均額を上回っていなければ対象となりませんでした。そのために、大企業と違って累進的に教育訓練費を計上する余裕がないことが多い中小企業では、ほとんど活用されていなかったようです。
 そこで、平成20年度税制改正において、教育訓練費の増減にかかわらず適用ができるように、その要件が大幅に緩和されました。
 具体的には、労務費のうちに占める教育訓練費の割合が0.15%以上であれば適用を受けられるようになりました(対象者及び対象となる教育訓練費の定義は後注1)。ちなみに制度の適用時期は、平成20年4月1日から平成23年3月31日までの間に開始する事業年度となっています。
 
多くの中小企業者等(後注2)で適用可能となったわけですが、今回の要件緩和を知らないままで「ウチには適用されないから」と諦めている経営者は多いのではないでしょうか。そうであればもったいないことです。今一度、自社の教育訓練制度を確認されてみるようお勧めします。
 
 

交際費が交際費でなくなる!?

 税務上、資本金1億円以下の中小企業では、ある支出項目が交際費に該当すると、①年間400万円までの部分については支出額の1割が、②年間400万円を超える部分についてはその全額が、「損金不算入」となります。つまり、課税対象になります。ですから、その支出項目が他の経費科目と比較して交際費に該当するかどうかの違いは、実務面で非常に重要です。
 交際費に該当した場合でも、節税の方法はあります。平成18年度税制改正において新設された「1人当たり5,000円以下飲食交際費制度非課税」の活用を検討してみてください。
 1人当たり5,000円以下飲食交際費とは、飲食等の費用で、その金額を飲食等に参加した者の数で割って計算した金額が1人当たり5,000円以下である場合のその費用のことをいいます。例えば、当社2人、得意先3人の計5人で居酒屋に行って接待を行った場合で、その費用が全部で25,000円であった場合に、25,000円÷5人=5,000円≦1人当たり5,000円となり、支出額25,000円全額について交際費課税を免れることができます。
(税抜経理の場合は消費税抜きの支出金額で判断します。社外の者が1人も含まれていない、いわゆる社内交際費は除かれるので注意が必要です)
 
 上記2つの制度は共に、その適用に当たっては一定の書類の保存などが必要となります。実行に当たっては税の専門家にご相談されるようお勧めします。
 
 
次回以後、さらに良い節税対策をご紹介していきます。
今日のこの話が経営者の皆様のお役に立つことができれば幸いです。
 
 
 
注1:対象者と対象教育訓練費
「中小企業者等における教育訓練費の税額控除」の対象者は「使用人(正社員、契約社員、パート、アルバイト等)」です。つまり、
社長を含む役員及びその親族 ②役員と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者 ③①、②以外の者で役員から生計の支援を受けている者 ④②、③と生計を一にするこれらの者の親族  ⑤使用人兼務役員
は、この制度の対象外となります。例えば社長が高額のマネジメントセミナーを受講したとしても今回の税額控除の対象にはなりません。
 
対象となる教育訓練費は以下の4つ。
  1. 法人がその使用人に対して教育、訓練、研修、講習など(以下「教育訓練等」という)を自ら行うために講師又は指導者(その法人の役員又は使用人を除く)に対して支払う報酬、料金、謝金及びその教育訓練等のために施設、設備などを賃借する場合におけるその使用料など
  2. 法人から委託を受けた他の者が教育訓練等を行う場合に、その委託を受けた他の者に対して支払う費用
  3. 法人がその使用人を他の者が行う教育訓練等に参加させる場合に支払う授業料、受講料、受験手数料など
  4. 法人が教育訓練等の用に供する教科書、教材などの購入又は製作に要する費用(製作とは、他の者に委託して製作をした場合に限る)
 ただし、研修に係る交通費・旅費等については教育訓練費の対象とならないので注意が必要です。
 
 
注2:中小企業者等とは次の法人をいいます。
(1)資本金が1億円以下の法人のうち下記以外の法人
  1. 同一の大規模法人に資本金又は出資金の額の1/2以上を所有されている法人
  2. 2以上の大規模法人に資本金又は出資金の額の2/3以上を所有されている法人
(2)資本金を有しない法人のうち、常時使用する従業員数が1,000人以下の法人
(3)常時使用する従業員数が1,000人以下の個人
(4)農業協同組合等
※ 改正に伴い対象企業が中小企業者等に限定され、大企業については適用がなくなりました。
 
 
 
 

 執筆者プロフィール 

今村仁 Imamura Hitoshi

マネーコンシェルジュ税理士法人 代表社員

 経 歴 

京都府京都市出身 立命館大学経営学部企業会計コース卒 会計事務所を2社経験後、ソニー株式会社に勤務。その後2003年今村仁税理士事務所開業、2007年マネーコンシェルジュ税理士法人に改組、代表社員に就任。税理士・宅地建物取引主任者・CFP等ベンチャー・起業家・中小企業の参謀役税理士(SZ)として、会社設立から株式公開支援まで幅広くサポート。大阪・京都・神戸・滋賀・奈良・東京・横浜を中心に活動。マネーコンシェルジュ税理士法人(旧今村仁税理士事務所)

 オフィシャルホームページ 

http://www.money-c.com/

 
 
 

 

 

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