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第8回 業績の良いときは節税に、悪いときは資金繰り対策に

 
  ここ数年は金融バブルなどもあって、業績が乱高下している会社が多いことでしょう。そこで今回のコラムでは、業績が良いときは節税に使えて、悪くなると資金繰り対策や黒字化対策に使える 「中小企業倒産防止共済制度」 についてお伝えします。
 
 

■ 中小企業倒産防止共済制度とは

 中小企業倒産防止共済制度とは、取引先が倒産などした場合に、掛金総額の10倍までの金額(3,200万円以内)の融資が無担保・無保証・無利子で受けられるというものです。得意先などが倒産したときに、自社が連鎖倒産しないための制度となっています。
 これが本来の制度趣旨なのですが、毎月支払う掛金は全額経費として計上でき、更には、掛金を40ヶ月以上支払うと解約手当金が100%戻ってきます。そこで、この制度を、業績が良いときには節税対策に使い、業績が悪くなったら解約して資金繰り対策や黒字化対策に使うのも、有効な経営戦略であると考えられます。
 もちろん、本来の制度趣旨にもとづいて機能させ、得意先倒産などのときには融資制度として活用することもできます。ちなみに、必要な事業資金の貸付けが臨時に受けられる一時貸付(借入)も、解約手当金の95%の範囲内で可能です。
 
 

■ 5,000円から80,000円まで自由に選択

 中小企業倒産防止共済制度は、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しています。加入できるのは、引き続き1年以上事業を行っている従業員300人以下の製造業など、以下の表に示すような中小企業者となっています。
 掛金は、5,000円から80,000円までの5,000円刻みで自由に選択できます。先述したように、この掛金は税務上、全額経費処理が可能です。ちなみに、解約したときの解約手当金は税務上 全額収入処理となります。
 この制度は得意先が倒産などしたときに融資が受けられますが、「対象となる倒産」 には 「夜逃げ」 や 「内整理」 などは含まれませんので、ご注意ください。また、無利子とはいえ借入をした場合は、共済金額の10分の一に相当する額が掛金から控除されます。その他の詳細は以下をご覧ください。
 

 

 中小企業倒産防止共済制度の概要 

■ 加入資格
引き続き1年以上事業を行っている以下の中小企業者です。
  • 従業員300人以下または資本金3億円以下の製造業、建設業、運輸業その他の業種の会社及び個人。
  • 従業員100人以下または資本金1億円以下の卸売業の会社及び個人。
  • 従業員100人以下または資本金5,000万円以下のサービス業の会社及び個人。
  • 従業員50人以下または資本金5,000万円以下の小売業の会社及び個人。
  • 企業組合、協業組合など。
    ※一部の業種に政令に基づく例外があります。
 
■ 掛金
  • 毎月の掛金は、5,000円から80,000円までの範囲内(5,000円単位)で自由に選べます。
  • 加入後、増・減額ができます(ただし、減額する場合は一定の要件が必要)。
  • 掛金は、総額が320万円になるまで積み立てることができます。
  • 掛金は、税法上損金(法人)または必要経費(個人)に算入できます。
 
■ 貸付事由
加入後6か月以上経過して、取引先事業者が倒産し、売掛金債権等について回収が困難となった場合です。
 
■ 貸付金額
掛金総額の10倍に相当する額か、回収が困難となった売掛金債権等の額のいずれか少ない額となります(一共済契約者当たりの貸付残高が3,200万円を超えない範囲)。
 
■ 貸付期間
5年(据置期間6か月を含む)の毎月均等償還です。
 
■ 貸付条件
無担保・無保証人・無利子です(但し、貸付けを受けた共済金額の1/10に相当する額は、掛金総額から控除されます)。
 
■ 一時貸付金の貸付け
加入者は取引先事業者に倒産の事態が生じない場合でも、解約手当金の範囲内で臨時に必要な事業資金の貸付けが受けられます。
 
■ 加入の申込先
お取引先の金融機関の本支店・商工会連合会・市町村の商工会・商工会議所・中小企業団体中央会などの独立行政法人中小企業基盤整備機構と業務委託契約をしているところへお申し込みください。 
 
(出典:「中小企業基盤整備機構」HPより。中小企業倒産防止共済制度紹介)
 ⇒ 
http://www.smrj.go.jp/tkyosai/000771.html
 
 
 
 
 

 執筆者プロフィール 

今村仁 Imamura Hitoshi

マネーコンシェルジュ税理士法人 代表社員

 経 歴 

京都府京都市出身 立命館大学経営学部企業会計コース卒 会計事務所を2社経験後、ソニー株式会社に勤務。その後2003年今村仁税理士事務所開業、2007年マネーコンシェルジュ税理士法人に改組、代表社員に就任。税理士・宅地建物取引主任者・CFP等ベンチャー・起業家・中小企業の参謀役税理士(SZ)として、会社設立から株式公開支援まで幅広くサポート。大阪・京都・神戸・滋賀・奈良・東京・横浜を中心に活動。マネーコンシェルジュ税理士法人(旧今村仁税理士事務所)

 オフィシャルホームページ 

http://www.money-c.com/

 
 

 

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