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◆情報化促進貢献表彰、今年の受賞者は?

 
 毎年10月は「情報化月間」と定められている。この取り組みは1972年、10月の第1週を「情報化週間」とする形でスタートした。1970年代は情報化の波が日本の産業・経済界に押し寄せると共に、銀行でのCD(現金自動支払機)・ATM(現金自動預入支払機)の導入や、企業や一般家庭へのファクシミリ機の普及など、情報化が国民一人ひとりの生活に与える影響が大きくなり始めた時代だった。そこで、国民に情報化に関する正しい知識と理解を広めていこうとする「情報化週間」がスタート。現在では期間が10月いっぱいに拡大され、経済産業省、内閣府、総務省、財務省、文部科学省、国土交通省など関係省庁が様々な行事を行っている。
 
 情報化月間に先駆けて、毎年9月には「経済社会の情報化の促進に多大な貢献をなしたと認められる個人・企業等」が情報化月間記念式典で表彰される。昨2013年には、料理レシピ掲載サイト「クックパッド」を運営するクックパッド株式会社などが選ばれた。
 今年9月に発表される43回目の受賞者は果たして、どのような個人・企業であろうか?
 
 

◆商流ファイナンスへの期待

 
 情報化週間がスタートした1972年とは比べ物にならないほど情報化が進んでいる現代、金融庁は「商流ファイナンス」が持つ可能性に関心を寄せている。商流(受注→製造→出荷→決済、在庫→売掛債権→現預金)の各段階に応じ、企業活動に必要な資金を供給する融資手法のことを商流ファイナンスと呼ぶ。
 
 財務省の「法人企業統計年報」によると、中小企業の資金調達方法として金融機関からの借入は減少しており、企業は内部留保によって資金繰りを成り立たせている状況である。しかし、在庫や売掛金を担保として融資を受けるABL(Asset Based Lending) 、売掛債権を流動化するSPV(Special Purpose Vehicle)やファクタリングなどを活用し、企業が必要とするタイミングで資金を得られる商流ファイナンスの手法によれば、企業は資金繰りを内部留保に頼る必要性が薄れる。
 
 

◆企業と金融機関、双方の成長のために

 
 金融機関が利益を上げるために、1つは顧客の幅を広げるという方法が考えられるだろう。金融商品から保険に至るまで様々な商品を販売すれば、商品に興味を持つ顧客の層は幅広いものとなる。いっぽうで、金融機関同士が限られた数の顧客を奪い合う状況下では、既存の顧客をキープし続けるための施策も求められる。商品を売りつけて終わりではなく、顧客のニーズをきめ細かく把握し、顧客の必要とする商品をベストなタイミングで案内する、いわば顧客のかゆいところに手が届くサービスを提供しなければならない。
 
 この点について、情報化の進んだ現代は金融機関にとって有利な時代だ。なぜなら、商品の受注から出荷、決済にいたるまで、各企業がネットワーク上での取り引きを行うことが増えているため、金融機関はネットワーク上を流れる膨大な取引データを分析し、融資先である企業が、どのような使途の資金を、どのタイミングで必要としているかを把握することが可能だからだ。
 
 第1章で紹介したクックパッド株式会社は「料理に関するあらゆる情報を結びつけることを可能とし、生活者の食卓に楽しみと多様性をもたらすなどITを利活用したサービスの拡大に貢献した。」として表彰を受けている。これからの金融機関に求められるのは、融資先である企業の活動に関するあらゆる情報を結び付け、企業の多様な資金ニーズに応えられる融資をもたらし、企業の経営基盤強化に貢献するために、ITを活用するという姿勢なのだ。
 
 
 

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