◆森と共存する未来のため
日々の暮らしを考える
国土面積の約70%が森林である日本。日本人は古くから森の恵みを享受して自然と共に生きてきました。しかし、経済の発展と共に、その関係性が変わってきた部分も少なくありません。建築資材や燃料の変化、輸入木材の増加といったさまざまな事情による国産材の需要低下。さらに、人手や費用の問題から、放置されている森林資源が多いことが、近年問題となっています。
森林の面積が全国トップレベルを誇る岐阜県。木材加工所も多く、優れた組木技術により産業は栄えてきました。そんな岐阜県・飛騨市に、体験を通じて森の価値や木の可能性について、考えるきっかけを与えてくれるスポットがあります。
「飛騨の森でクマは踊る」――通称「ヒダクマ」。森は日本人が共存してきた自然そのものであり、恵みである。そして、今こそ100年の視点で森の価値をとらえなおす必要があるという考えのもと、日常の中の可能性から新たな価値を生み出すべく挑戦を続けています。今回は、そんなヒダクマの取り組みに注目してみましょう。
◆滞在を通じて地域を知り
ものづくりを通じて木を楽しむ
ヒダクマでは、飛騨の街並みや森林素材、伝統の組木技術といった地域の価値を、ITやテクノロジーを駆使してアップサイクルする活動を行っています。その一つが、ものづくりの支援。3Dプリンターやレーザーカッターといったデジタルファブリケーションを活かし、ものづくりのプロセスの効率化のほか、異素材を取り入れた組木技術によるプロダクトづくりなど、ものづくりにおける新たな発見のきっかけを提供しています。
その活動の軸となっているのが、築100年以上の古民家を改築した「FabCafe Hida(ファブカフェ ヒダ)」。Fabマシンや木工機械を設置し、ドリンクやフードを楽しみながら、気軽にものづくりが楽しめるオープンスペースです。「どの機械を使えばいいのか、何をつくればいいかわからない」というものづくり初心者も、ワークショップや制作キットも用意されているのでご安心を。カフェやものづくりを通じて、デザイナーや木工職人との交流も楽しめるのも魅力の一つと言えます。カフェメニューも、こだわりのコーヒーや地元の食材を活かしたメニューがそろっているので、カフェ利用だけでも気兼ねなく足を運んでみてはいかがでしょう。
◆木材選びから表現の方法まで
ものづくりのプロをサポート

組木技術に触れる建築家・ツバメアーキテクツの千葉元生氏

西野製材所の協力のもと、広葉樹の個性に触れることも
https://hidakuma.com/
〒509-4235 岐阜県飛騨市古川町弐之町6-17
TEL 0577-57-7686
営業 10:00~18:00
定休日 無休