「バルミューダ」 創業者・寺尾玄氏は、海外への旅や音楽活動といった様々な経験を経て、未知であったものづくりの世界へ飛び込みました。町工場を訪ねては製造の知識と技術を蓄え、2003年に生まれたのが製品第一弾 「X-Base」。ノートパソコン用の冷却装置を搭載した画期的かつ美しいフォルムは、瞬く間に人気商品となりました。その後も、新しい観点でインテリア性と利便性を兼ね備えた製品を続々と開発。現在も、PCアクセサリやLEDデスクライトは自社で組立をし、支持を集めています。

 

　快進撃を続けるも、2008年のリーマンショックの影響を受け、「バルミューダ」 も倒産の危機に陥り大きな転機を迎えました。その際、「どうせ倒れるなら、前に倒れよう！」 と、製品づくりを根本から見つめ直し、「自分がほしいもの」 から 「多くの人に必要とされるもの」 という考えにたどり着いたのです。そして地球上の大きな問題である、地球温暖化と化石燃料の枯渇に着目し、少ないエネルギーで人々の暑い寒いを解決する冷暖房事業に取り組むことに。書物にて流体力学を学び、ある時、町工場の職人さんが扇風機の風を壁に当てて、柔らかい風にあたっているのを見たことと、テレビで見た三十人三十一脚で、歩調の違いで隊列が崩れた様を見て、速度の違う風を起こす二重構造の羽根をひらめきました。試作と実証を繰り返すと共に、どこから見ても扇風機ですが、どこから見ても新しいデザインを検討。斬新なアイディアを突き詰め、ついに形にしたのが 「GreenFan」 だったのです。