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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

命の誕生に寄り添う 地域の頼れる助産師
一般社団法人くるみ助産院 代表理事/院長 三木智子

 
プロフィール 看護師として全科勤務を経て、自分の責任で命と向き合いたいという思いから助産師へ転身。2006年、我が子との時間も大切にしたいという思いからくるみ助産院を開業。関西を拠点に、独自の「つるりんこ出産」で自然分娩を支援。2009年には全国初の法人化も実現。これまでに5000件以上の出産と、11万人以上の母子を支えている。
 
 
 
人生の一大イベントである、出産。子どもを世に送り出す最初のステップである出産に対して、「どのようにしたいか」という要望や意思を持つ人は少ない。一般社団法人くるみ助産院の三木智子院長は、女性が本来持っている妊娠や出産に備える力を引き出すことで、自然分娩をサポートする。三木院長が理想とする助産院は、産前・産後はもちろん更年期の悩みまで女性の生涯に寄り添い支援する、女性のための駆け込み寺だ。
 
 
 

看護師からお産のプロ・助産師の道へ

 
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インタビュアー 狩野恵輔(野球解説者)
狩野 一般社団法人くるみ助産院を運営する三木院長。私自身5人の子どもの父親なので、助産師さんのお話をうかがうのを楽しみにしてきました。子どもはみんなかわいいですが、赤ちゃんはまた別格ですよね。三木院長は、ずっと助産師さんのお仕事をされてきたんですか?
 
三木 看護師として病院の全科を10年間担当していたんですよ。救急から慢性期、人間ドックまで幅広く関わり、命を、“部分”ではなく“全体”で診る視点が身につきました。
 
狩野 看護師として活躍なさっていた中で、助産師を目指したきっかけは何だったのでしょう。
 
三木 看護師として働く中で、「自分の責任で命と向き合いたい」という気持ちが強くなりました。指示を受けて動くのではなく、自分で判断して関われる仕事を考えた末、助産師という選択肢が浮かびました。正常なお産には医師の指示がなくても関わることができ、助産師には開業権もあるんですよ。知識も経験も活かし、自分の信念で命と向き合えるこの道に進もうと決意しました。
 
狩野 その後、経験を積まれて開業に至ったと。
 
三木 開業を決意するきっかけになった、忘れられない出来事があります。ある夜、深夜勤に出かける際、眠り損ねた当時3歳の次男が、玄関で目に涙を浮かべながら必死に我慢してバイバイを返してくれ、それ以上は何も言わずに座っていたんです。「泣いたらママが行けなくなる」と、小さな胸で理解していたのでしょう。胸が締めつけられ、愛しさと切なさが一気に押し寄せました。