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繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート vol.29 「仮想敵への反抗」からの脱却

ビジネス 繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート vol.29 「仮想敵への反抗」からの脱却 繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート 商業経営コンサルタント/サトーカメラ代表取締役副社長

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こんにちは。佐藤勝人です。前回は私の“初体験”を話したところ、「シミとりからカプセルホテルに展開するのが新鮮だった」とか、「示唆されることが多かった」とか、いつになく反響が大きかった。今回も、自分の中では結構大きな意味のある初体験のことを話そうと思います。舞台は佐賀県です。さて、何があったのか・・・。
 
 

吹き抜けのオープンスペースで
新しい“勝人節”を掴んだ

 
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新境地へのきっかけになった大会のチラシ
先月中旬のこと、佐賀県小城市で、県の商工会議所の青年部連合会の大会が開かれた。私は1年ぐらい前にお話をいただいて、当日は「あなたも地域のヒーローになれる」という演題で講演をした。そのシチュエーションが、斬新だった!
 
会場は「ゆめぷらっと小城」。市民センターっていうのかな、ホームページでは市民交流プラザとなっているけど、市民が申込制で借りられる会議室やホールがたくさんあって、多目的に使える施設。そこの1階フロア、吹き抜けになっているオープンスペースの特設ステージだった。「マジ? ここでやるの?」と思ったけど、大会実行委員いわく、実験の意味もあるから、とのことだった。公共施設内の公共空間だから特定の団体が使うのは今まで許可がおりなかったけど、今後は開かれたフロアにしていきたいから大会の講演会場に選んだんだ、ということだった。
 
真っ先に思ったのは、「ここは公共の場、いつものスタイルは使えないなぁ! どうする俺!」だった。というのも、これまでの私のセミナーや講演は、任意の参加者が集まるクローズドの会場だった。だから「某大手の〇〇チェーンは現場がわかってない!」とか「資本家になり下がった経営者の話なんか聞いてどうする!」と、多少毒を吐いても迷惑をかけないレベルの大手を仮想敵にして、それへの反抗姿勢や独自視点の一刀両断がウケていることを知っている。またそれが私の色でありキャラだと思っていたので、今まで意識的にそうしてきた――そのスタイルが今回の公共の場ではNGだと思ったわけだ。
 
だって、子どもをあやしているママさんとか参考書を読んでいる学生とかも普通にいるんだよ!? そこで「マッ○のハンバーガーなんか食えるか!」なんて言ったらビックリさせてしまうよ(笑)。だからそういう毒は抜いた講演をしたんだが、そうすると私の話はおもしろいのかどうか、わからなかったんだよね。
 
でも、後で大会実行委員会の人から「過去最高におもしろかった、大成功です」と太鼓判を押されてホッとした。「会の参加者だけでなく、その場にいる主婦や学生までも耳をそば立てて聞いていました」って。
 
それを聞いて、「あ、そうか」と思った。今までずっと、大手のやり方を皮肉ったり逆手にとったりしながら「本来はこうあるべきじゃないか。だろ?」というふうに話を持っていっていたけど、もっと普通に、素直に、大手を悪者にせず話してもちゃんと聞いてもらえるんだな、って。むしろそのほうが万人受けするというか、スーッと耳に入りやすいのかな、って。
 
私の場合はそうせざるを得ない状況に見舞われて気付いたわけだけど、同様の気付きは他の人にも経験があると思う。いわば「仲間うちでウケていたやり方以外のやり方に目覚める瞬間」だ。特に今回は11日後に「第87回 商業界ゼミナール」の基調講演を控えていて、そこでも私のことを知らないその他大勢の人たちに向けて話す予定だったから、なおさらこの気付きは意味があった。
 
実際にゼミナールでは“普通に・素直に”を心がけた話し方を意識的にやってみた。そして満場の拍手をいただけた。講師の登壇時のテーマ音楽にQueenの曲を流したのは長い歴史を誇る商業界ゼミナールで初の試みだったそうだが、私自身にとってもあの日の講演は、意識的に新しいスタイルで話してみて成功したという意味で記念になるものだった。その前に佐賀県商工会議所小城大会できっかけをくれた大会実行委員長の音成信介氏にも、この場を借りてお礼を言っておきたいと思う。
 
 

成長を続けるために
世代的な役割も問い直す

 
実はこの体験には、付随してもう一つ気付いたことがあった。これまで私は「誰もが認める大手に勝つためにどうするか」と考えるなかで自分の戦略を磨いてきたが、それらの企業の創業社長はほとんどがもう引退されたか、亡くなられている。今の大企業の経営者は雇われ社長ばかりだ。雇われ社長が悪いとは言わないが、戦後の混乱期あるいは復興期に人生を賭けて自ら道をつくった世代の創業社長と比べると格が違う。いっぽうで創業社長はといえば、今活躍中の皆さんは仮想敵に見立てるにはちょっと違う感じの、ベンチャーか何かの若い経営者ばかり。つまり、私の世代の経営者にとって反抗しがいのある大物がいつのまにかいなくなっていたことに気付いたんだよね・・・。
 
私は今 54歳だ。私の世代にとって大物創業社長といえば、亡くなられた方ではダイエーの中内功さんとかマクドナルドの藤田田さんが思い浮かぶし、存命中の方ではセブン‐イレブンの鈴木敏文氏やファーストリテイリングの柳井正氏が筆頭に上がる。お二人とも70歳以上の世代だ。その次の60歳代は、高度成長の恩恵でバブルの雰囲気もあるけど仕事となれば徹夜も当たり前のハードワーク世代。それから私のような男女雇用均等法導入世代の50歳代を挟んで、次は一気に時代がくだって団塊ジュニアとか“ゆとり・さとり”とか言われるスローな世代の経営者になる。
 
そう整理すると、自分の世代の役割に関しても変わってきた気がするんだよね。もっと若かった頃は確かに、先行世代のやり方を批判したり、わざとケチをつけたり、要は諸先輩方の存在を否定的に乗り越えるところに経営者としての成長もあった。でもこの先は、それだけでは前に進めない。諸先輩方のやったことを当時の社会背景も含めて理解して、「ここは良くないけどここは良い」とか、「最後は失敗したけど当時これを決断したのはすごい」とか、「これを今の感覚でアレンジしたら何ができる?」というような生産的な見方で解釈して、それを次の世代につなぐ“間(あいだ)”の役割が自分たちに求められているんじゃないか――そう感じるようになってきた。
 
これは他の世代に向けてだけじゃなく、やっぱり経営者はどこまでいっても「世のため、人のため」がテーマなんだよ。商業界ゼミナールでも「テクノロジーを生かしての働き方改革はもちろん推進していくが、世のため人のため、お客さんのために、ハードワークするよ! 俺たちは!」という話をした。今の世の中でそう言い切る経営者はいないから刺激的だったようで、会場からは「そうだった! 自分たちの使命を忘れていた」という反響をたくさんいただいて嬉しかった。若い世代の経営者からも「目を覚まされました」という声が返ってきた。
 
自己肯定の「いいね!」ばかりの世の中だからこそ、時にはそれまでのスタイルを自己否定することも必要だ。そうやって新しいスタイルに出合って、常に成長していきたいと思います。
 
3月20日~4月30日までの勝人塾
■4月16日第71回とちぎ勝人塾IN宇都宮
会場/サトーカメラ宇都宮本店2階ホール
事務局/日本販売促進研究所 後援/栃木県商業界同友会
https://www.facebook.com/events/2140576362923234/
 
■4月24日第16回とやま勝人塾IN黒部
会場/黒部市民会館
事務局/フォトサロンドン
https://www.facebook.com/events/403735587053772/
 
■最終受付4月18日まで 
第14回佐藤勝人と行くアメリカ商業視察セミナー
「ITと商業の融合先進国に学ぶ」ニューヨーク&ワシントンDC
開催/6月18日〜6月24日 5泊7日研修 
主催/日本販売促進研究所 旅行手配/JSPLトラベル
https://www.facebook.com/events/815935338756822/
 
 
第9回「ニコニコチャンネル ニッポン勝人塾」(4/15 15:00 – 16:00)の告知
 
 
 
繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート
vol.29 「仮想敵への反抗」からの脱却

 著者プロフィール  

佐藤 勝人 Katsuhito Sato

サトーカメラ株式会社・代表取締役副社長/日本販売促進研究所・商業経営コンサルタント/想道美留(上海)有限公司・チーフコンサルタント/作新学院大学・客員教授/宇都宮メディアアーツ専門学校・特別講師

 経 歴  

1964年栃木県宇都宮市生まれ。1988年、兄弟とともに家業のカメラ店をカメラ専門チェーン店に業態転換させ、商圏をあえて栃木県内に絞ることにより、大手に負けない経営の差別化を図った。以来、「想い出をキレイに一生残すために」というコンセプトを追求し続けて県内に18店舗を展開。同時におちこぼれ社員たちを再生させる手腕にも評価が高まり、全国から経営者や幹部リーダーたちが同社を視察に訪れている。2015年からはキャノン中国とコンサルティング契約を結び、現場の人材育成の指導にあたる。主な著書に『売れない時代はチラシで売れ』『エキサイティングに売れ』(以上同文館出版)『日本でいちばん楽しそうな社員たち』(アスコム)『一点集中で中小店は必ず勝てる』(商業界)『断トツに勝つ人の地域一番化戦略』(商業界)など。新刊の『モノが売れない時代の「繁盛」のつくり方』(同文舘出版)が好評発売中。

 オフィシャルサイト 

http://satokatsuhito.com/

 オフィシャルフェイスブック 

https://www.facebook.com/katsuhito.sato.3?fref=ts

 サトーカメラオフィシャルサイト 

http://satocame.com/

 
 
(2019.03.20)
 

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