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5月に電気料金が値上げ。太陽光発電はまだか

 
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 全国の電力10社がこの5月から電気料金の大幅な引き上げを実施した。消費税アップに加え、火力発電のコスト膨張ぶんや、再生可能エネルギーの買取代金などが上乗せされるためである。値上がり幅が最大となる東京電力では、平均的な家庭で1ヶ月あたり430円ものコスト増となる。消費税の引き上げでダメージを受けている家計にとってさらなる痛手は大きいが、国内の原子力発電所が停止し、燃料コストが高い火力発電に頼る中、この引き上げには「やむなし」とする見方も強い。
 
 ならば太陽光発電はどうか。今回の電気料金値上げに、買取代金の上乗せぶんが含まれることからも、一時は期待の声が高かったエネルギー源の現状が気になるところだ。
  2011年3月に発生した東日本大震災以降、日本では急激に太陽光発電の普及が進んだ。太陽光発電を導入する住宅が急増した他、メガソーラー事業を手がける企業が雨後の竹の子のごとく増え、「太陽光バブル」とも呼ばれるブームが訪れた。
 ところがこのブームは長続きせず、急速に沈静化してしまったように見受けられる。理由は単純だ。経済産業省の定める売電単価が、年々ハイペースで切り下げられたためである。10kW以上のカテゴリーを見ると、2012年度までは42円だったのが、2013年度は37.8円、2014年度は34.56円と急降下している。
 
 たった3年で売値が18%も減額されたうえ、将来的にも「さらに下がることはあっても上がることはない」と見込まれる事業分野が冷え込むのは、当然のことだ。実際に、「太陽光発電は終わった」とする識者も多い。日本の太陽光発電は、このまましぼんでしまうのだろうか?
 
 

2020年には2013年の2倍に

 
 詳細を探ってみると、しぼむばかりとは思えない事象も散見される。
 たとえば米電機大手ゼネラル・エレクトリック(GE)の参入だ。3月30日の各新聞朝刊によると、GEは岡山県・瀬戸市に国内最大級のメガソーラー施設を建設し、2018年の稼働を目指している。利にさといアメリカの大手企業が新たに参入してくるのなら、太陽光発電の市場は冷え切っておらず、まだまだ将来性があるのだろうか。
 
 実は日本に先行する形で、欧州では10年ほど前に大きな太陽光バブルがあった。発電パネルが不足したため、見ず知らずの日本企業に数千万円単位の前金を送ってかき集めるケースも見られた。その後、欧州における太陽光発電設備の増加率は鈍化したものの、現在では中国、米国などで急伸している。
 
 米リサーチ会社、Navigant Researchは昨年11月、2020年までには太陽光による全世界の年間発電量は73.4GWにのぼる、という試算を発表した。これは2013年の35.9GWに比べ、2倍以上の発電量である。同リサーチで急増の中心と見込まれているのは、日本を含む環太平洋地域である。
 
 この予想の背景には、太陽光発電という技術の伸びしろに対する期待感が透けて見える。太陽光パネルの価格や性能は、直近10年ほどの間にも格段に進化してきた。価格は1/3、性能は2倍になったとする専門家もいるほどである。今後もこの流れは持続するだろう。米調査会社Lux Researchでは今年1月、設備の設置コストが2020年までにさらに30%程度低下するという予想を発表している。初期投資のコストが下がり発電効率が高まれば、たとえ電気の買取価格を引き下げられても、事業のうまみは十分に残る。
 
 
 

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