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夢のある仕事

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 未来があって、可能性に満ちていて、多くの人を喜ばせることができて…そんな仕事に関わりたいものです。ただ、何もないところからは生まれません。積み上げてきたノウハウや、既存の枠にとらわれない発想が必要となるでしょう。
 日本の伝統的な手仕事はどうか。受け継がれてきた技があります。かけがえのない文化を守り続けるという使命感もあります。一方で、需要が乏しく厳しいという担い手の声が聞こえてきます。だとしたら今、伝統はどうあるべきか。その答えを導きだしているのが京和傘の「日吉屋」。和傘ひと筋で培ってきた技を駆使して、世界のインテリア愛好家が納得する照明器具「古都里(ことり)」を世に送り出しています。伝統の担い手がつくり出し、伝統の未来を切り開く夢のある仕事です。一体、なぜこのような仕事が実現したのでしょうか。
 
 

◆革新から生まれた「古都里」

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 「日吉屋」は江戸時代後期から続く老舗。 過度な装飾を省いた京和傘を、最高級の素材と巧みな技で代々つくり続けています。京都という土地柄、茶道との関わりも深く、裏千家表千家御用達の野点傘も仕立ててきました。しかし、わたしたちが普段手にするのは洋傘です。和傘を使う機会はほとんどありません。そんな状況で「日吉屋」が持ち続けたのが「伝統は革新の連続」という信念。1000年の歴史とともに磨き上げられてきたシンプルで洗練されたデザインこそ和傘の最大の魅力です。それを生かして、現代の暮らしに合った商品に育てようと開発を重ねてきました。
 そして生み出されたのが、デザインと機能の両面で優れたインテリア照明器具の「古都里」。商品開発のポイントとなったのは、日本はもちろん海外のライフスタイルにも手軽に取り入れてもらえるデザインを心掛けたこと、既存の照明にはなかった“折りたたみ可能”な構造を実現したこと、さらに和紙と竹の熟練した加工技術で製品の完成度を高めたこと。照明デザイナーの協力もあり、伝統は革新をとげたのです。
 
 
 
 

◆未来へ羽ばたく和の魅力

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開閉可能なランプシェードと温かい光。

 かつては廃業の危機に直面した「日吉屋」ですが、独自のセンスと発想で大きく成長。「古都里」が持つ魅力はまたたく間に海外へ広がりました。ジャパンブランドに選出され、2008年にはパリで開かれた国際見本市のメゾン・エ・オブジェで初の海外プロモーションを実施。その後も着々と展開し、今ではヨーロッパのみならずアメリカへも進出しています。この軌跡は商品名の通り、自由に飛び立つ小鳥の姿そのもの。小鳥のように小さな存在であっても自分の力で世界に羽ばたき成長してほしいとのメッセージが込められているのです。今後は、さらに和傘の持ち味を生かして魅力的な商品をつくり続けていく考え。伝統がもっと身近な存在になりそうです。
 
 
 
  日吉屋
  京都市上京区寺之内通堀川東入ル百々町546
 

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