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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

創業110年超の匠の技 野菜の命を届けるマシン
鈴木糧食研究所 代表 猪狩修

 
プロフィール 東京都出身。幼い頃から機械いじりやものづくりに熱中しており、創業から110年以上続く鈴木糧食研究所の4代目に就任した。現在は個人事業でスズキのジュースマシンの研究や改良、そしてメンテナンスまで一人で手がける生粋のつくり手。創業者が残した技術思想を大切に守りながら、現代のニーズに合うような形で、酵素たっぷりの野菜ジュースをつくるマシンの製造・販売を行っている。
 
 
 
110年以上長きにわたり、食品加工機をつくり続けてきた鈴木糧食研究所。現在注力しているジュースマシンは、細胞壁まですり潰すローラー構造で野菜成分を完全溶出させるため、良質なジュースをつくれるという。低速回転式なので酵素が豊か、手入れも簡単で長持ちする夢のマシンだ。今回は、野菜ソムリエでもある石黒彩さんが工房を訪れ、一般的なジューサーとは一線を画す独自技術、そして猪狩修代表のものづくりへの思いに迫った。
 
 
 

1世紀かけて洗練した野菜ジュースマシン

 
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インタビュアー 石黒彩 (元モーニング娘。)
石黒 鈴木糧食研究所の猪狩代表にお話をうかがいます。こだわりのジュースマシンがあると聞き、本当に楽しみにしてきました! 料理関係の仕事も多いので、こういう専門的な調理機器ってすごく惹かれるんです(笑)。
 
猪狩 料理番組やレシピ本などで活躍されている野菜ソムリエの石黒さんにそう言っていただけて、光栄です! 今日は実際に見て、触って、味わって、全部体験していってください。
 
石黒 工房に入った瞬間からテンションが上がっています(笑)。歴代のマシンがずらっと並んでいて、まるで職人さんの博物館みたい。こういう場所には胸が高鳴ります。
 
猪狩 もともとは先代の鈴木忠治郎さんが1913年に創業して、さまざまな食品加工機をつくっていたんですよ。そしてある健康法の先生から相談を受け、1956年に完成したのがこのジュースマシンです。
 
石黒 1913年というと大正2年から・・・! このローラーを見た瞬間、ただのジューサーじゃないと感じましたよ。ぜひ詳しくお聞かせください。
 
猪狩 野菜の細胞膜は二重構造で、膜の上にさらに壁があるので、ミキサーの刃では壊しきれないんです。だから、“潰す”ための2本のローラー構造に行き着きました。
 
石黒 それは、理にかなっていますね。熱を加えないって本当に大事なことで、ミキサーだと摩擦熱が出て栄養まで壊れてしまい、炒めているのと同じことになるんですよね。最初の説明だけで、期待値が上がってワクワクしてきました!
 
猪狩 さすが石黒さん、お詳しいですね!