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2、大阪のバスに乗ったら、会計士は何を考えるか?

 
 収益の認識について、ちょっと専門的な話も交えてお話しました。とにかく売上の計上一つとってもとても難しい問題を含んでいることと、一般の方からするとどうしても納得できないような事例についても取り上げてお話しようと思いますので、「はい!お会計です」 のややこしそうな部分や各種団体の報告書も読んでみてください。

私は東京に住んでいます。ですから都バス等は、料金先払いです。何の疑問も感じませんが、地方へ行くと料金後払いのところが沢山あります。そして気がつきました。バス料金の 〈収益の認識〉 問題です。
東京で料金先払いのバスに乗り、途中で交通事故にあい、やむなく全員降りざるを得なくなったら、おそらく料金は払い戻しになるのではないでしょうか? となると、会計的には、料金を受領した段階では前受収益、バスから降りた段階で 〈収益の認識〉 つまり売上の計上です。実際はそんな面倒なことはしませんよ。〈収益の認識〉 を厳密に考えたらそうなるということです。料金後払いのバスの場合は、サービスの提供を完了した段階で運賃を払いますので、料金ボックスにお金を入れた段階で収益認識となります。
 
 

3、切符購入後、すぐ改札しなかったら、会計士は何を考えるか?

 
 切符の購入から改札を通り、電車に乗って降りるまでを、会計的に厳密に考えてみましょうか? 鉄道会社の収益の認識というより、分かりやすくするためにお客の立場から考えてみます。
 
ケースA (1)切符購入時→前払費用勘定処理、 (2)降車時→旅費交通費勘定へ振替
ケースB (1)切符購入時→前払金、 (2)改札通過時→前払費用、 (3)降車時→旅費交通費
ケースC (1)切符購入時→前払金、 (2)改札通過時→前払費用及び旅費交通費、 (3)降車時→旅費交通費
 
実際は切符購入時にすべて旅費交通費処理をしていますが、厳密に考えるとこうなるという仮定の話です。
ケースBとCの違いが解りますか? 当事務所勤務の公認会計士K君と話をしていたらドンドン議論が発展していってしまいました。
 
K君曰く
「ケースBは間違ってませんか?改札を通った段階で入場料的部分は返金されませんよ。210円区間なら初乗り区間の170円部分は改札通過時点で費用認識じゃないですか?」
私曰く
「すると、40円部分のみが前払費用か?でも自分の都合でなく、不可抗力の事故に遭遇し、いったん入った改札を出ざるを得ない場合は料金返してくれるんだろ?」
K君が続けて
「その場合は不可抗力の事故の発生実績から、返金予定可能額を合理的に見積もって、引当金計上すべきでしょ。」
「ウーン、勘定科目はどうする?不可抗力事故返金引当金とでもするか?」
 
・・・実際は、事故発生率は限りなくゼロでしょうから、こんな引当金はありませんが、会計の考え方の一つです。あとで触れる 「ポイント引当金」 なんて昔はなかったんです。
 
 
 
 

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