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■実調率の低下

 
 国税庁のホームページにある 「第11回 国税審議会 (平成21年3月11日)」 の資料によると、「実調率が個人及び法人ともに低下している」 とあります。平成18年分では、法人の実調率4.9%、個人はわずか0.8%となっています。
 実調率とは、税務調査の対象となる法人や個人事業者などのうち、実際に税務調査が行われた割合のことです。法人実調率は、実地調査の件数を対象法人数で除したもので、個人実調率は、実地調査 (着眼調査を除く) の件数を税額のある申告を行なった納税者数で除したものとなっています。
 個人及び法人の申告件数は、消費税免税点制度の引下げや公的年金等控除の見直し等の改正もあって、過去20年間で約1.6倍に増加しています。一方、経済取引の国際化・広域化・高度情報化の進展の割に、税務行政側の人員はそれほど増加していません。結果、個人・法人ともにかなり低い実調率になっているものと思われます。課税の公平の観点からは、脱税者の逃げ得とならないようにしておく必要があります。
 
 
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(表は資料5P目)
 
 

■税務調査、会社によって温度差?

 
 法人の実調率4.9%をそのまま受け取ると、約20年に1度しか税務調査の対象とならないということになります。しかし、これは企業規模の小さな会社やほとんど活動されていない会社も含んでいますので、実際の現場感覚からするとずれます。実感では、企業規模にもよりますが、ざっくり3~5年に1度、税務調査の対象になるというのがおおむね妥当かと思われます。
 とはいえ、ここで大事だと思うのは、毎年税務調査がある会社もあれば、なかなか税務調査に選ばれない会社もあるということです。つまり、税務調査には、対象となりやすい会社とそうでない会社があるようです。
 
 

■税務調査の対象となりやすい会社とは?

 
 では、税務調査の対象となりやすい会社とは、具体的にどんな会社でしょうか。
 大きくは、以下の5つのポイントがあります。
 
1.決算書で異常値がある会社
2.決算書の経営分析項目で異常値がある会社
3.会社及び経営者個人で大きなお金の動きがあった会社
4.急成長した会社 (マスコミ等で話題になった会社)
5.取引先や従業員とトラブルがあった会社
 
 大事なのは、決算書を作成したときなど税務調査実施の前段階で、こういった動きがあると税務調査の可能性があるかもしれないなぁなどと把握しておくことです。すると、事前に対策も打てますし、後日の税務調査時にあわてることもありません。
 
 
次回はそれぞれの項目の詳細を詳しく解説しましょう。
今日のこの話が経営者の皆様のお役に立つことができれば幸いです。
 
 
 

 執筆者プロフィール 

今村仁 Imamura Hitoshi

マネーコンシェルジュ税理士法人 代表社員

 経 歴 

京都府京都市出身。立命館大学経営学部企業会計コース卒 会計事務所を2社経験後、ソニー株式会社に勤務。その後2003年今村仁税理士事務所開業、2007年マネーコンシェルジュ税理士法人に改組、代表社員に就任。税理士・宅地建物取引主任者・CFP等ベンチャー・起業家・中小企業の参謀役税理士(SZ)として、会社設立から株式公開支援まで幅広くサポート。大阪・京都・神戸・滋賀・奈良・東京・横浜を中心に活動。マネーコンシェルジュ税理士法人(旧今村仁税理士事務所)

 オフィシャルホームページ 

http://www.money-c.com/

 
 
 
 

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