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皆さまこんにゃちわ。
 
煮えたぎる残暑の中、今月もやってまいりました。大川です。
 
先日庭にプールを買いまして、その中にちゃぶ台を入れて文章を書いているんですが、体を動かすたびにちゃぶ台をスモールウェーブが襲うので、そのたびにパソコンを持ち上げてキャーキャー言いながら、のこりの夏を過ごしています。
 
 
さて。
 
連載が始まってすぐに観光案内を務め、その翌月には中年の恋愛相談をこなし、直近では500円のカメに名前を授けたりしながら根気よく続けてきたわけですが、ここにきて「悩める大学生」からとても真剣な質問をいただきました。
ということで今月はいつもより少ーしだけマジメ路線で行ってみようかと思います。
 
 
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私は、大学生です。
 
私たちの世代はゆとり世代と言われ、現在の私のバイトでのあだ名は“ゆとりの申し子”です。
お金もなく、車の免許もなく、資格もなく、単位もなく、そして夢もないです。
このまま、就活しても受かる気しません。
夢も目標もない私はこれからどうしたらよいのですか。
教えてください。
(大学生 ゆとりの申し子)
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ゆとりくん。真剣な質問ありがとう。
明確な出口の見えない、とてもたいへんな時期だと思います。
夢や目標について語る前に、まずは世の中の仕組みを「稼ぎ方」から見てみましょう。
 
世の中には、お金を稼ぐ方法がいくつかあります。
 
・何かを作って売る
・何かを作るのを手伝ってお金をもらう
・何かを仕入れて何かを売る
・自分の財産を貸して、金利や家賃等の使用料をもらう
・自分の財産を売却する
・資格等に基づく技術やノウハウを提供してお金をもらう
・他の人よりも先に投資して、高値で売ったり配当を得る
・奪う、貰う
・立派なポーカープレイヤーになる
 
などです。
 
そして、安定してお金を稼ぐには「再現性」がなによりも大切で、そのために企業は立地の良い場所に店舗を開いたり、新商品を開発してCMを打ち続けたりしていくのが通例です。
 
その結果、企業を構成する工場やオフィス等あらゆる場面で「再現性」が神となり、「再現性」の邪魔になる「従業員の個性や迷い」は教育の段階でサックリと排除されるようにデザインされ、土手で決闘する馬鹿学生や、学ランの下に赤シャツを着た豪傑などはすっかり必要とされなくなりました。サックリとすっかりが韻を踏んでいるのもポイントです。
 
結果的に開拓するもののなくなった現場では、リーダーシップよりもルーチンワークでの耐性の高さが求められ、企業の側にもその境遇からの抜け出し方を社員に教える意味がないことから、働く人の選択肢は年齢とともにグイグイと消えてなくなります。
 
ブラック企業と呼ばれる雇用のトレンドや、暑い中スーツ着て落とされ続ける就職活動も、こうした世の中がジュクジュクに成熟しきった証であり、2000年以降、歴史的に類を見ないスムーズさで日本の階層化が行われてきた結果だと考えることもできるでしょう。
 
ゆとりだアホだと言われながらもバイトをこなし、不祥事に怯える会社に就職する。
そして身近な相手を見つけて家族をつくり、DMの送り先くらいの値打ちしかない個人情報の流出に目くじらを立てながらチキンナゲットを流し込む。
 
残念ながらこれこそが、特に目標を定めてこなかったボンヤリさんの現実であり、その脚本は、赤潮のように都市部から郊外までを覆い尽くしているのです。
 
 
でもね。
 
そんなふうになっちゃった世界は、もう無理に関わらなくてもいいんです。
 
学校が新しい生き方を把握できていないからちゃんと教えられてないだけで、よく見たら世の中は、ずいぶんと自由に遊べるようになっています。
 
 
好きなものを作ってお客さんに直接売ったり、惚れ込んだものを人に勧めたり、数百人に素敵な文章を届けることでのんびり生きていったり、田舎から毎日生放送をしてみたり。いわゆる勤め人から見たら無責任に見えてしまうような気軽さで生きていけちゃってる人々が、この1,2年でずいぶん増えてきているように思えます。
 
今までは資金調達して起業して、設備投資して人材確保してマーケティングの必要もあった夢への筋道も、もうなんでもクラウドですから、必要に応じてマッシュアップしたらいいんです。需要も供給も本当に流動的ですから、昔みたいに特定の商材に運命を委ねる意味もありません。
 
なによりも、誰かが寄ってたかって作る物がどんどん不祥事を起こす世の中では、責任持ってちゃんとしたものを提供する人はほんとうに貴重な存在です。
 
安いものを探すためにITを使うのではなく、良いものを探してそれを届けるためにITを使うことで、「値打ちのわかる方々」から圧倒的な支持をいただくことができるんです。
 
だからこそ規模の大小にかかわらず、自分の経験や偏執に基づいて惚れ込める商品を提供することを強烈に意識するべきで、ザッポスやブルーボトルのように、イケてるブランドには必ずそうした信念やストーリーが存在していることもとても勉強になる前例です。
 
アホでもゆとりでもいいんですが、マスマーケティングの片棒を担いで息止め競争を続けずに、この機会に「アドボカシーマーケティング」を徹底的に勉強し、その中の好きな言葉をどんどん書き出していきましょう。そういった熱意との出会いこそが実は「再現性」への近道で、「ゆとり」に足りない人間的な魅力にとても大きな影響を与えてくれます。
 
 
自らをゆとりと呼ぶのはラクですが、それを世代のせいにするのはゆとり以前に怠慢です。
豪快に道を踏み外し、選択と集中を重ね、世界中で100人くらいが熱狂してくれるようなすばらしい未来と出会ってください。
 
 
それではつぎの質問。
 
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茂吉がエサを食べません。
                     (小学5年生 ジュンタ)
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コマツナやっとけ!(°ω°) 
 
 
 
 
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vol.5 
ゆとりから質問が来た 

 執筆者プロフィール  

大川弘一 Koichi Okawa

経営コンサルタント/ポーカープレイヤー

 経 歴  

1970年8月生まれ。慶應義塾大学商学部中退後、酒販コンサルチェーンを経て独立。1997年にメルマガ配信事業の株式会社まぐまぐを設立し、現在までにユーザー数は1300万人超を数える。1999年には子会社でナスダックに上場。2013年に代表職を退き、経営コンサルタント業と並行して、ポーカープレイヤーとして世界各地を巡っている。

 フェイスブック 

https://www.facebook.com/daiokawa

 
(2014.8.20)
 
 
 

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