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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

自分の役割に真摯に向かい
集団の中で発揮する個人力

 
 
海外のクラブチームへ一人乗り込んでいけば、当然、地元のマスコミやファンに注目されるし、チームメイトたちの好奇の目にも晒される。言葉や文化の壁を越え、どのように外国人選手たちとの関係づくりを進めていったのか、そしてどのようにしてプレッシャーを克服していったのか。高原選手はそれを、まるで“なんでもなかったこと”のようにさらりと語っていく。
 
 

どんな時でも自分を信じることが必要

 
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 外国人のチームメイトとの協調は、それほど難しいものではないと思います。まずは自分からコミュニケーションを取ろうとすることが大切で、そんなぼくの思いを周囲のチームメイトも必ずわかってくれました。そうすると彼らもやはり、ぼくが何を伝えたいのか、探りながら理解しようとしてくれます。自分から心を開いていくと、相手も真摯に接してくれるし、助けてくれるのです。やはり、我々は言葉が通じなくても、サッカーという共通言語で繋がっているのだなと実感しました。
 招へい選手として人々から注目を集める中で、確実に結果を出していく、そのプレッシャーを克服していくためには、どんな時でも自分を信じることが必要です。あれこれ考えるより、これまで自分がやってきたことに対して自信を持ってプレーをして、たとえ上手くいっていない時でも自信を失わず、やるべきことをしっかりやっていくべきだと思うのです。
 自分はストライカーとして期待されて、そのチームに行くわけですから、ゴールを決めて得点することが使命なのははっきりしていますし、それを達成すれば周囲の人間が自分のことを信頼してくれるのもわかっています。逆に、その使命を成し遂げることができないと、すべてが上手く回らなくなってしまう。それでも決して下を向かない。常に強い気持ちを抱いていないと、ネガティブな考えが大きくなり、自分が押しつぶされてしまいます。ですから、“いっさい自分は気にしない” と自分に言い聞かせるのです。
 そのようなマインドは、様々な人との出会いの中で自然に身についていったのだと思います。他人の良い部分をしっかり自分の中に取り入れて生かし、積み重ねていった結果、今の自分が形作られたのでしょう。一つのことを長い間続けていれば、当然良いことも悪いことも同じくらいに経験します。失敗した時や上手くいかなかった時に、次に同じ過ちを犯さないよう、どのように対処すべきかを繰り返し考え、そして技術をブラッシュアップしていくのですから、やはり経験から学ぶことは大きいんですよね。
 
 
 
数々の経験を重ねることで、強靭なマインドが形成されていったという高原選手。海外での経験が、選手としてはもちろん、人間としての成長をもたらしてくれたと実感しているという。
 
 

堂々と、自分らしくあることが大切

 
 ドイツ・ブンデスリーガの 「ハンブルガーSV」 には、一つのチームに11~12ヶ国の様々な人種の選手が集まっていました。ドイツのチームであるにも関わらず、なぜか母国語がフランス語の選手が多かったので、せっかく移籍前にドイツ語を勉強していったのに、全く言葉が理解できませんでした(笑)。しかし、サッカーという共通項を通じて、それだけ多くの国籍、人種の選手たちと知り合い、そして仲間になっていくのは、とにかく刺激的だったし、物事の捉え方や考え方にも影響を受け、視野が格段に広がりましたね。
 ぼくは、国境や人種を越えたコミュニケーションに必要なのは、語学力だけではないと思うのです。気持ちの問題というか、とにかく臆しちゃダメだということ。外国人に多いのですが、「日本語をしゃべれる」 と豪語する割に、挨拶ぐらいしかしゃべれなかったり(笑)。それでも 「しゃべれる」 と言い切ってしまうし、何とかコミュニケーションが成立するのですよね。ビジネスだとそんなに簡単にはいかないのでしょうが、まずは伝えようとする気持ちが大切なのだと思います。こっちが伝えようと必死になれば、相手も理解しようと必死になる。逆にもじもじしているほうが印象は良くないですよね。
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 また、同じくハンブルガーSVのグランドマネージャーと初めて食事に行った時の話なのですが、レストランで舌平目の料理が出され、ぼくはそれをものすごくキレイに食べました。あとで聞いた話ですが、相手はその食べ方に感動したらしいのです(笑)。自分が思ってもいないようなところを見ているのだなと実感しましたね。どこを見られているのかわからない。だからこそ逆に、必要以上に他人の目を気にする必要はなく、堂々と、自分らしくあることが大切なのだと思いました。
 
 
 
 

 

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