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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

名セットアッパーが胸に秘める
チームと周囲への貢献意識

 
 
現在、テキサス・レンジャーズには3人の日本人投手がいる。一人は建山選手、もう一人はファイターズ時代の後輩にあたるダルビッシュ有選手。そして、高校時代からの盟友である上原浩治選手だ。因縁浅からぬ日本人投手が自分のライバルとして現れたことになるのだが・・・。
 
 

本当のライバルは誰だ?

 
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 ダルビッシュはまったく違うタイプのピッチャーなので純粋に応援できますね。先発とセットアッパーという違いもありますし。だから、そういう意味では上原へのライバル心は強くありますよ。高校から一緒にやってきて、なんの因果かアメリカでも同じチーム(笑)。 プロ入りしてからは彼の背中を見る機会のほうが多かったので、同じ土俵で勝負できる嬉しさがある反面、やっぱり負けたくないですよね。
 タイプが違うから 「上原がいれば建山はいらない」 ということにはならないでしょうけど、ブルペンの枠が決まっているという意味では、彼もそこに席を占めたいわけで。あいつも僕のことをいい意味でライバルとして意識してくれてますから、それは嬉しいですよね。だって、仮に異性との間でも 「この女性、俺のことを男としてまったく見てないな」 って感じたら切ないやないですか(笑)。
 だから、真にライバルと言える存在はやはりバッターだと思います。アメリカへ来る際に 「このバッターとは対戦したいな」 と思っていたのがアルバート・プホルス。日本では有名でないかもしれませんけど、実際にプレーを見て彼のスイングには鳥肌が立ちましたからね。でも、当時彼はカージナルズに所属していて、リーグが違うし、交流戦でも当たる機会はなかった。ワールドシリーズでやっとあいまみえることができると思ったら、僕がメンバーから外れてしまったり・・・。「なかなか想いは届かへんもんやな」 と思っていたら、今シーズンから彼が同じアメリカンリーグ西地区のエンゼルスに移籍してきた。願ってもないチャンスなので、対戦を心待ちにしているんです。
 
 
 
言わずもがな、野球というスポーツはチームスポーツだ。建山選手の言葉にもあったとおり、「勝利」 という目標に向かって、チームとして取り組んでいく必要がある。建山選手は昨シーズン1年間で、一選手として、チームの雰囲気づくりにどのような役割を果たしてきたのか。
 
 

勝利のための意思疎通

 
 「勝つ」 ということに焦点をあてると、チーム内の意思疎通は絶対的に必要です。日本ハムのときに勝てた理由としてはっきりしていることは、チーム内の意思の疎通が正確で、意思そのものが強かったことでしょうね。たとえば、守備の際に 「フォアボールを出さないようにチームとして取り組む」 というテーマをファイターズは持っていました。ピッチャー全員がその意識を共有することはもちろんなのですが、野手陣もそれを強く意識していたんですね。事あるごとに 「フォアボールには気をつけろ。打たれるぶんにはどんどん打たせたらいい。何とかしてやるから」 というバックアップが感じられたんです。つまりは、これがチーム力なんですよね。
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 でもアメリカでは、その意思疎通、意識統一が日本よりは薄いように思いました。多国籍の選手が集まり、個々が頑張ればお金がもらえる世界なので、仕方がない部分もあるんですけど。昨年のワールドシリーズを逃した要因の一つとして、レンジャーズにもその問題があると思います。そこがカージナルズとの差だった。
 では、意思疎通、意識統一をどうやったらできるようになるか? 強力なリーダーが必要でしょうね。昨年のカージナルズとの差を埋めるためには、監督、選手、GM、オーナーといった立場からではない声を、誰かがリーダーとして個々の選手の心に響かせて、一つの意識を植え付けることが強く求められると思います。レンジャーズはノーラン・ライアンという伝説的な投手が引退してオーナーをやっていて、オーナーとしてのカリスマ性は確かにありますが、そうした部分でのリーダーシップがどこかで求められるのは間違いない。
 僕自身がそうしたリーダーになるというのは難しいところですが、少なくともチームの一員であることを僕は常に大事にしているので、チームの問題点に対しては自分の考えを発信していきたいです。そうやって、自分が参加している環境を良くするためのプラスになっていたい。プロの仕事は成績を残すことが最も重要ですけど、僕自身、チームに貢献したい、チームに対して何かもたらしたいというモチベーションが強いですから。
 
 
 

(インタビュー・文 新田哲嗣 / 写真 Nori)

 
 
 
 

 

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