B+ 仕事を楽しむためのWebマガジン

スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

仕事を楽しむ最大のコツは、夢を持ち、
志を抱き、失敗を恐れず、楽しみ続けること

 
 
100101_sp0008_d05.jpg
 スイッチがオンになるには条件があると思うのです。それは、恥ずかしさ、見栄、安っぽいプライドなどを捨て去ること。笑われることを恐れているからこそ、守りの姿勢になってしまい、せっかくの力をセーブしてしまう。常識の枠に入って 「あいつ、おかしいんじゃないか?」 と揶揄されることが怖いから、一歩前へ踏み出せなくなる。でも、実は常識にとらわれず、突き進んだほうがおもしろいんですよ。それに、楽しくて仕方がないわけだから疲れ知らずになる。仕事はやらされていたら疲れますけど、自分が好きなことをやるときには疲れないものでしょう?
 実は、このスイッチをオンにできる人間と言うのは、大きな夢を持っている人間に限られるんです。高い志を持って「自分がこの業界を変えてやる」とか「将来、かならずこういうことを実現してやる」という強い気持ちを持っている人だけなんです。私利私欲がいけないわけではないのですが、志ですから、第三者のためになる何かをアイデンティティとして求めていくことが前提になるでしょうね。
 それともうひとつ、熱い人でなくてはいけません。挑戦する情熱がない人だったり、自分の夢に命をかけられる人でなければ、夢の実現は難しいでしょうね。命や財産、名誉、立場を守ることだけを意識してしまうと、どうしても保守的な動きにならざるを得ない。ゆえに実力の十分の一しか発揮できないと私は思っています。もちろん命を無駄にするような無茶をしろと言っているわけではありません。自分が本当にやりたいこと、楽しいこと、目指すもののためになら、懸けてもいいんじゃないかと思うのです。
 
 
 

――そして東京マイカー販売はガリバーへと生まれ変わり、羽鳥氏は平成8年の6月から、通信衛星を活用した、画像で中古車を提案するシステムの開発に着手した。今でこそインターネット上での買い物とは当たり前のものとなったが、当時は、まだインターネット自体が普及していなかったため、普及するまでは程遠い状況だった。「中古車は、直接目で見て買うのが当たり前。羽鳥は何を考えているんだ?」―― そこここから飛び出す疑問の声。しかし、羽鳥氏は「車を適正な値段で発売する」という大目標のためだけに、あえて未知なる 「画像での販売」 の可能性を手繰り続けた

 

すべてはお客さまのために

 
100101_sp0008_d06.jpg
 やはり全国統一の値段にするためには、全国の人が一度で見れるような環境のもとで車を展示しなくてはいけない。北海道でも九州でもどこでも同じ値段。平成9年にインターネットによる展示販売のテストに入って、その翌年から営業開始となりましたが、現在のシステムに比べると作動に時間がかかったことがあり、なかなかうまくいかなかった(笑) でも私は信じていました。お客さんのためにコストをかけないで販売するためには、「画像での販売」 しかないと。
 大型展示場で展示即売会をやっても、売れるのか売れないのか分からない。会場費などを考慮すると、どうしても余計なお金を利益の上に乗せないと採算が合わなくなる。そうなると、それはお客さんの視点ではなく、中古車業者の視点で商売をしてしまうことになりますよね。それならいっそ、無在庫で展示場もないほうがいい。そんなふうに、当時の常識をことごとく否定して回ったわけです。私たちのためではない、お客さんのための提案の仕方を第一にしたのです。
 その後は、社員もよくついてきてくれたと思いますよ。実際にガリバーを創設したのは私ですが、中古車業界を変えたのは私ではありません、ガリバーの社員たちなのです。彼らが強い精神力をもって、中古車業界の改革者になってくれたからこそ、今のガリバーがあると私は思っています。
 やはり大事なのは精神力ですよ。体力も大事ですが、最後になってモノを言うのは (胸を叩きながら) ここです。
 
 実はね、そのことを伝えるために、仕事以外でもある試みを続けているんです。それはマラソンです。4年前、64歳のとき、アメリカをマラソンで横断したことがあるんです。毎日43キロずっと走り続ける。もちろん体力的にも精神的にも限界を超えますよ。でも、社員たちに身体で教えたかった。肉体を凌駕するのは精神力なのだと。絶対にゴールをするという意識を持って走り続ける。もちろんそれは自分の意思で走るわけですから、苦しくても楽しくやれたのは言うまでもないことですけどね(笑) 楽しくなくちゃ、意味がないですから。
 
100101_sp0008_ex01.jpg

マラソンは自分の限界に挑戦すること。「最後はハートだ!」 というメッセージを、自らの体をはって社員に伝える。

100101_sp0008_ex02.jpg

仲間たちに支えられ、64歳にしてアメリカ大陸をマラソンで横断した。

100101_sp0008_ex04.jpg

大陸を横断した際の相棒、シューズ。持参した60足のうち、実に55足を履きつぶした。

 
 
(インタビュー・文 新田哲嗣 / 写真 大木真明)
 
 
 
 
 会社概要 
株式会社 ガリバーインターナショナル
 本社所在地 
〒100-6425 東京都千代田区丸の内2-7-3 東京ビルディング25階
 オフィシャルサイト  
 
 
 
 
 

 

スペシャルインタビュー ランキング