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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

人事一筋40年の経験で
人を活かし企業を支援

 

働きたくなる環境づくりで企業が成長する

 
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村田 先ほど、「評価システムが職場全体の士気を高め、企業の成長にもつながる」とおっしゃっていましたね。長きにわたって人事業務に携わってこられた中で、人事制度の全体像も変化しているのでしょうか?
 
吉井 そうですね。人事の現場では、ここ数年で「エンゲージメント」という考え方がすっかり定着してきました。
 
村田 エンゲージメントですか。どういう意味なんでしょう?
 
吉井 簡単に言えば、社員が会社に対して「どれだけ思い入れを持って仕事に取り組めているか」という指標です。このエンゲージメントの高さが、実は企業の業績とも相関があることが、近年の研究で明らかになっているんですよ。
 
村田 なるほど。やる気がある社員が多い会社は、結果として業績も良くなるということですね。
 
吉井 まさにその通りです。例えば「育児と両立しやすい職場環境を整える」といった施策を打つことで、社員の働きやすさが向上し、エンゲージメントも自然と高まります。すると、日々の仕事に前向きに取り組む人が増え、職場の雰囲気が変わり、結果的に生産性や定着率も改善されていく。こうした好循環をつくることが、私たちのような人事に携わる者の大きな使命だと思っています。
 
村田 とても納得できるお話だと思います。現代では必ずしも就職したら定年まで同じ会社で働き続けるのではなく、転職してキャリアアップしていく道もありますからね。
 
吉井 おっしゃる通りです。以前は、従来の日本企業の典型であった終身雇用制をもとに、優秀な人材を社内で育てて定年まで働いてもらう前提で人事制度を組んでいました。しかし近年では、働き方改革や雇用制度の見直しといったさまざまな要因から、その前提が覆されてきています。その結果、どんなに優秀な人でもいつかはその会社を離れるかもしれません。だからこそ、会社と個人が“お互いを尊重した関係性”を築くことが、これからは重要だと思います。
 
村田 確かに、せっかく育てた人材が独立や転職してしまったとネガティブにとらえるのではなく、その方と独立や転職後も良い関係が保たれていれば、元の会社に何かしらの形でプラスの影響を与えてくれるかもしれませんよね。
 
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吉井 ええ。だからこそ、人材を“囲い込む”よりも人材との“つながりを残す”という視点が大事なんです。
 
村田 現代のような人手不足の時代には、むしろ優秀な人材を業界内で“シェア”できたらいいのかもしれませんね(笑)。
 
吉井 それは斬新な発想ですね! 今はまさに、さまざまな価値観が移り変わっているタイミングなので、もしかしたら近い未来には、複数の会社が優秀な人材の能力をシェアしていくということがメジャーになっているかもしれません。
 
村田 これから先も新しい人事制度がどんどん生まれていくんでしょうね。いずれにしても、吉井代表がおっしゃるような、「縛るためではなく、活かすために制度やルールを整える」という考え方が広まっていくと良いなと思います。