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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

得意を伸ばし自立を促す
就労支援福祉施設の運営

 

企業の抱える悩みを解決する橋渡し役を担う

 
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水野 成良会さんが運営する就労継続支援B型事業所では、どのような業務を行っておられるんですか?
 
倉内 タオルの仕分けやアイロンがけ、ワイシャツのプレスといったクリーニング業務を中心に行っています。利用者様の中には10年以上この仕事を続けている方もいるんですよ。彼らのスキルは非常に高く、一般のスタッフよりも質の良い仕上がりになることもあるほどなんです。
 
水野 10年以上とは驚きです! それほど利用者さんにとって働きやすい空間なんでしょうね。
 
倉内 ありがとうございます。さらに、当事業所で経験を積んだ利用者様を、地元の企業などに紹介することもございまして。しかしながら、障がい者雇用については企業側にも悩みが多いんです。現在の法律上、ある程度の規模を持つ企業は、一定数の障がい者を雇用する義務があります。ところが、障がい者の方を雇用するノウハウがない企業が多く、「どう接したらいいか」「どんな仕事を任せたらいいか」がわからず、雇用が進まないケースも少なくありません。
 
水野 確かに、障がいのある方へ向けた支援体制は、以前よりも整ってきた印象があります。しかし、肝心な企業側の受け入れ体制にはまだまだ課題があると感じますね。特に現場の戸惑いは大きいのではないでしょうか。
 
倉内 おっしゃる通りです。だからこそ私は、提携する企業の現場に1週間ほど通い、社内の方に「障がい者の方とどのように接すればよいか」を丁寧にお伝えするようにしています。実際、私たちのように長年にわたって福祉にかかわる者が橋渡し役として入り込むことで、企業側の不安も和らぎ、うまくいくケースが増えてきました。
 
水野 まさに大和田工房で蓄積されたノウハウが活かされているわけですね。具体的には企業に対してどのようにアドバイスしておられるのかも教えてください。
 
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倉内 障がい者の方に対して、過度に「なんとかしてあげなくては」と気を遣ったり、手取り足取り教えたりする必要はないんですよ、とお伝えしています。大和田工房でも、利用者様たちは、周囲のスタッフや職員の仕事を見て、自分自身で覚えていく力があるんです。ですから、企業の中でも、障がいのある方が興味をもった社員さんについていかせて、その仕事を見せて自主的に練習をさせてあげれば、自然とできるようになっていることも多々あるんですよ。
 
水野 なるほど。障がい者の方だからと過度に特別視するのではなく、どんな風に働くかを一緒に考え、支えることが大切なんですね。
 
倉内 そうなんです。障がい者の方はもちろん、受け入れ先の企業の方にとってもストレスが少なくなるよう、お互いに無理のないようにサポートしていかなければ、障がい者雇用の問題は解決しないと思いますね。