B+ 仕事を楽しむためのWebマガジン

経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

伝統の技術と最新設備で
顧客の車の傷を徹底修復

 

SDGsを意識し時代の最先端を行く工場

 
鎮西 せっかく工場にお邪魔したので設備も見てみたいです! 特にAIが使われている機器はぜひ拝見したいですね。
 
glay-s1top.jpg
水冷スポット溶接機の説明をする矢嶋社長
矢嶋 弊社では、水性塗料と並行してAIとカメラを組み合わせた調色システムを導入しています。色を合わせる調色作業は、手作業ですと早くて約3年はかかります。しかし、こちらの最新のAI技術が内蔵されている機器を使うと、カメラで撮るだけで、配合データがでてくるシステムになっているので、経験年数の少ない若い職人さんでも調色が素早くできてしまうんです。
 
鎮西 へぇ、それは画期的ですね!
 
矢嶋 はい。また、こちらの水冷タッチパネル付きスポット溶接機も優れものでして。最近の自動車の鋼板は超高張力鋼板などの鉄密度の高い鋼板が採用されているため、従来のスポット溶接機では、溶接の付きが甘い箇所が出てしまうことが多くありました。しかし、この弊社が導入したスポット溶接機は、AIが鋼板の厚みを判断し、最適な溶接条件を見つけてくれて、部位によってはメーカー指定の溶接条件を自動で選んでくれます。それによって、正確で完成度の高い溶接ができるようになっているんです。
 
鎮西 すごい。職人さんも安心して作業が行えますね。
 
矢嶋 おっしゃる通りです。また、こちらの機器は、イタリアのメーカーが製作した「グローバルジグ」という機器で、3次元ボディアライメント修正機です。上下・左右・前後と3次元に動くジグを使い、自動車の基準となる寸法位置にジグを固定していきます。最大で12ヶ所を固定し、その固定する工程で、フレームの歪みが見えてくるんです。フレームの歪みがわかればこっちのもので、この道15年の職人が、誤差1mm以内に人間の背骨にあたるメインのフレームを修正していくという流れですね。
 
鎮西 1mm単位ですか、どうりで目で見ただけではわからない歪みも直せるわけだ!
 
矢嶋 現在製造されている日本車は高い精度でつくられていますから、よほど熟練した職人でないと、腕だけではカバーできないと思います。
 
鎮西 それほどの繊細さが求められるお仕事なんですね。車は命を乗せるものですから、これだけ徹底されていると、ユーザーの方も安心できますよ。そういえば近年は、大手自動車メーカーによるSDGsへの注力がニュースになっていますよね。そういった側面で、技術以外の面でも鈑金塗装のお仕事に求められるものも増えているのではないでしょうか?
 
矢嶋 トヨタ自動車さんだと、2025年までに、協力会社を含めたすべての現場で上塗り塗料を完全水性化する方針を打ち出しましたね。実は私たちも水性塗料を導入するなど、SDGsを意識した取り組みにも力を入れているんですよ。取り引き先の要請で慌ててやり方を変えていては高品質のサービスはできませんから、今から準備しているんです。
 
鎮西 素晴らしいですね。その水性塗料もぜひ見たいです!
 
矢嶋 見るよりも匂いを嗅いだ方が、違いがわかりやすいかもしれません(笑)。こちらが水性塗料で、もう一方が、シンナーを含んだ一般的な油性塗料です。
 
glay-s1top.jpg
油性塗料と水性塗料の匂いの違いを確かめる鎮西さん
鎮西 わっ、油性塗料は鼻にツーンときます。でも、水性塗料はマイルドな嗅ぎ心地だ。刺激臭が全然ないですね。
 
矢嶋 そうなんです。水性塗料は職人にとっても悩みの種だった、シンナーの刺激臭を解消してくれるんですよ。ですから環境だけでなく、現場にも優しい塗料というわけです。
 
鎮西 確かに、水性だと人体への悪影響も少なそうですし、現場の安全性も高まりそうです!