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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

中古鉄パイプを全国販売
建設以外にも用途が拡大

 

ネット販売が建設業界外に未知の需要を開く

 
石黒 そうなると、鉄パイプを販売する前にたくさん買い取ってストックしなくちゃいけないから、在庫を置く広いスペースが必要では?
 
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澤田 埼玉の八潮市に資材ヤードがあります。この先何十年も使われ続けるアイテムなので、在庫を抱えるリスクはほとんどありません。搬送のほうも14t、8t、4tの3台のトラックで対応していて、弊社でただ1人大型免許を持つ女性ドライバーも活躍しています。
 
石黒 わあ、かっこいいな。景気の波によらず建設需要は常にありますから、業界内で型枠資材のいい循環が生まれていて、大型トラックはいつもフル稼働状態といったところでしょうか。
 
澤田 はい。弊社はもともと父が2008年に始めた会社で、既存のお客様が約300社いらっしゃいます。ただ、さすがに中古品だけ扱っていると売れる数が限られますし、私が2015年に入社してからも販路をあまり広げていませんでした。しかし、最近は買い取りが順調で十分なストックがあり、韓国から新品の型枠資材を直輸入するビジネスも始めたので、2020年からネットを活用した集客に乗り出したところなんです。
 
石黒 ネットで情報発信すると、これまで目に触れてこなかった未開拓のユーザーとの出会いも期待できそうです。反響はいかがですか?
 
澤田 「パイプサポート.com」という、弊社ホームページを立ち上げ、事業内容を紹介した動画をアップしたところ、ちょうど鋼材市況が高騰している事情ともマッチして、多くのお客様よりお問い合わせをいただけるようになりました。今日も新規の注文を10件ぐらい受けています。
 
石黒 それはすごい!
 
澤田 やってみてわかったのは、世の中に鉄パイプを求めている人が大勢いるという事実でした。
 
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石黒 これぞネットの可能性そのものですね。例えば、どんな新しい引き合いがありましたか?
 
澤田 まず同じ業界内でありながらこれまで接点がなかったのが、建物の解体業のお客様です。足場を組むのに鉄パイプが使われていて、今では毎月コンスタントに注文をいただきます。少し変わったところでは、看板を支えるための鉄パイプですね。仮設の看板も裏から鉄パイプで支えているんです。それで、神社のお祭りで2週間だけ使うから、使い終わったらまた買い取ってという注文がありました。新品ですべてそろえたら、何十万円もかかります。しかし、中古でも十分役割を果たしてくれますから価格半分、効果半分ということにはなりません。価格半分でも、効果100%。そうであれば、安いほうがいいですよね。
 
石黒 確かにそうですよね。考えてみれば、鉄パイプで形になるものって、まだまだいっぱいあるのかもしれません。
 
澤田 そうなんです。ネットで情報発信してわかったのは、需要は建設業界以外にもたくさんあるということでした。