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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

アドラー心理学で
人や企業の変革を支援!

 

ファシリテーターは答えを引き出すのが仕事

 
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 そうやって謙虚に自分の過去を振り返れるのはとても立派ですよ。大学院を出てからはどうされたんですか?
 
渡邉 就職はせずに、夢だった外交官になる勉強を始めました。でも、その夢も挫折に終わってしまいまして。その後、結果的に大手生命保険会社に入社しました。そこでは法人営業を担当し、飛び込み営業を楽しみながら副部長にまで昇進できたのですが、あることがきっかけで転職することにしたのです。
 
 そのきっかけとはどんなことだったんですか?
 
渡邉 その会社では月に2回、会議があったんです。それがいつも3時間も続くんですよ。しかも内容は、事前に知らされている様々な成績を発表して「来月も頑張ります」と言うだけの、ただの報告会でした。「こんなことをしても何も生まれない、いったいどういうことなんだ」と他社に勤める知人らに話したら「うちの会社も同じだ」という声ばかり。それなら、この問題を解決するビジネスがあるのではないかと会社を探し、"株式会社すごい会議"という企業を見つけ、そちらに入門したんです。そこでファシリテーションの基本を学び、2013年4月に独立しました。
 
 仕事のうえで疑問に思い、無駄と思うことをなくすために自分自身が仕事を変えることで道を切り拓いてきたわけですね。そのバイタリティはすごいと思います。それではいよいよ、ファシリテーションとはどんな仕事なのかを教えていただけますか。実は僕が持っているサッカー指導者のライセンスでも、最近はコーチングやファシリテーションについて勉強するんです。渡邉社長はその専門家だから、より具体的な内容を教えてもらえそうだ。
 
渡邉 わかりました。私が行うファシリテーションとは企業の会議に参加して議論を仕切り、生産性を上げ、ひいては経営の本質を変えていく手法です。コンサルタントが”答えを提供する”のが仕事だとすると、ファシリテーターは”答えを引き出す”のが仕事と言えるでしょうね。ビジネスの答えは全てその会社の社員が持っているものです。ファシリテーターはそれを引き出すきっかけやヒントを与えるのが仕事なんですよ。
 
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 ファシリテーションの理論はどんな考えがベースになっているのか、気になります。
 
渡邉 ファシリテーターによって様々ですが、私はオーストリアの心理学者、アルフレッド・アドラーが提唱したアドラー心理学をベースにしています。ファシリテーションにおけるアドラー心理学の特徴は目的論にあります。「今の自分は、生まれ育った環境など過去の出来事が決めている」と考える心理学は原因論。いっぽうのアドラーは「過去を振り返っても現在の問題の解決にはならない。それより未来の目的に向かって、今ここで何をすべきかを考えよう」と目的を重視するんです。