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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

 
 
もともとラジオの構成作家兼出演者として活動していた清水さん。当時から一貫して、視聴者が求めるもの、反応が良いものを模索して提供してきた。しかし、長年の経験の中では反省していることもあるのだという。
 

観客が求めるものを見極める

 
芸能界に入ったときに、「こんなにおもしろい場所はないな」と思いました。バラエティ番組の出演者の方々はおもしろい人ばかりなので、周囲の方々を見ているのも楽しいし、自身でステージに立つのも楽しい。自分に向いている仕事だなと感じました。
 
私がものまねを自分の芸としたのは、単純にそれがお客さんにウケたからです。ラジオに出演していたときも、5時間ほどかけて考えたネタを披露するより、一言ものまねをするほうが簡単に笑いを取れたんですよね。「なるほど、こっちなのか」と感じたので、ものまねを続けてきました。
 
ライブをするにあたって大切なのは、自分のやりたいことと、お客さんの求めていることの接点を見極めることです。その見極めができずに、とても反省したことがあります。以前、「オペラ銭形平次」という20分ほどのネタをつくりました。すごくこだわって、時間もお金もかけてつくったネタだったんですよ。それが、ライブでまったくウケなくて。
 
あのときのお客さんには悪いことをしたなと思っています。あまりにもこだわってつくったネタだったので、それを披露することが自分の中で義務のように感じてしまっていたんですよ。周囲のスタッフさんも、私があまりにも頑張っているので、やめたほうが良いとは言い出せなかったみたいです。完全に独り相撲でしたね。自分が大切にしているものより、お客さんに楽しんでもらえるものをつくらなきゃいけないと猛省しました。
 
 
観客の笑い声はもちろん、自身の舞台に関わったスタッフが、周囲から羨ましがられたという声も嬉しいと話してくれた清水さん。仕事場では、関わる人々とどのようにコミュニケーションを深めているのだろうか。
 

ちょっとした意地の悪さを昇華させる

 
私は口が悪いところがあるので、言葉選びには気を付けるようにしていますね。あとは、常にアンテナを張るように意識しています。私くらいの年齢になると、若い世代の芸人から「尊敬している」と言われることも多くなってきました。そういった後輩との距離を縮めるためにも、今何が流行っているのかなどはアンテナを張って情報収集するようにしていますね。
 
アンテナを張ることはコミュニケーションを深めるための手段になるだけではなく、ネタを探すことにもつながります。ライブを観に来てくださる方の中にも若い世代の方々はいますからね。ラジオを聴いたりテレビを見たりするときは、単純に楽しむだけではなくて、自分の引き出しを増やすことも意識していますね。何が自分のネタになるかはわかりませんからね(笑)。
 
実際にネタをつくる際は、私のちょっとした意地の悪さがポイントになっていると思っています。意地の悪さをうまく昇華できれば、良いネタになるんですよ。例えば、以前国会議員の中条きよしさんが、国会で自身の新曲をPRしたというニュースがありました。私は意地が悪いので、その曲を聴いてみたんですよ。
 
そうすると、昔のある名曲にそっくりだなと感じたので、ライブで「これはパクリじゃないのか」というネタにしてみました。お客さんは、「なんでそんな隅をつつくのか」と笑ってくれましたね。私も自分の胸がすくし(笑)、自分のやりたいことと、お客さんの求めることがつながったんだと思います。