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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

 
 
舞台作品の楽しさについて聞くと、チーム一丸となって作品づくりを行えることが魅力だと話してくれた倉科さん。その“チーム”には、観客も含まれているのだという。
 

観客の想像にゆだねる

 
舞台の楽しさは、挙げたらキリがないのですが、その中でいくつか挙げるとするなら、まずは作品によって劇場の顔色が変わることでしょうか。私は舞台作品だけでなく、劇場という場所そのものもとても好きで、雰囲気などにも注目しています。同じ劇場であっても、作風や演出によって雰囲気がガラっと変わるんですよ。「今日は劇場の顔色が違うな」と気付くと楽しいですね。
 
何より魅力的なのは、みんなで作品づくりを行えることです。映像作品の場合、同じ作品に携わっているキャスト全員に会うことはほぼありません。どんな作品にしたいのか、どのようなメッセージを伝えたいのかを全員で共有し、足並みをそろえて作品をつくり上げるのは、舞台ならではの魅力だと思います。
 
キャストが作品のメッセージ性をきちんと理解できるのが嬉しいんですよね。「ここはこういう意図があるから、こんな照明になっているんだ」とわかると、それに沿った演技ができますから。みんなで同じ方向を目指して歩んでいけるのが、やりがいでもあります。
 
一緒に作品をつくり上げるチームには、観客の方々も含まれているんですよ。舞台は映像作品と違って、観客の方々に背景や建物などを想像で補ってもらうことが多いですよね。観る方の想像にゆだねて、作品が完成されるんです。劇場にいるみんながチームとなって一つの作品をつくっていることが、舞台の魅力だと思っています。
 
また、観客の方々の想像力を信じて、嘘がダイナミックになるところも舞台の好きな部分の一つです。例えば、舞台作品では10代の子どもの役を、30代、40代のキャストが演じることもあります。映像作品の場合は、ある程度近い年齢の人が演じますよね。年齢などの基準にとらわれずに大変身することで、表現するキャストも、観てくださる方々も、想像力が広がっていくんじゃないかなあ。