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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

 
 
若い世代に舞台の楽しさを伝えたいと語る古田さん。具体的に、古田さんがどのように舞台でのお芝居を楽しんでいるのかお聞きした。
 

舞台の楽しみ方を若手に伝えたい

 
舞台のお芝居で一番大切なのは、目の前にいるお客さんに楽しんでもらうことです。お客さんに楽しんでさえもらえれば、ほかは何をしても良いと思っています。舞台は映画やドラマのようにカット割りがないし、編集もない。その場での演技がすべてさらけ出されます。それはプレッシャーですけど、逆手に取って楽しむのが舞台の魅力なんです。
 
先日夏美ちゃんが稽古終わりに、「まだどうして良いのかわからないことばかりだけど、この作品を通じて新太さんたちの舞台の楽しみ方を知りたい」と言ってくれました。オイラもこの業界に入って長くなってきたので、年長者としてぜひその楽しみ方を伝えていきたいですね。
 
オイラはもともと舞台俳優を目指してこの業界に入りました。目の前にお客さんがいる環境で、全員を巻き込んで芝居をできることがとても楽しいですね。プロレスは場外乱闘があるから楽しい。オイラの出る舞台を観に来てくれる方にも、そういった何が起こるのかわからない楽しさを提供したいです。
 
だから、以前は映画やドラマなどの映像作品に対してのモチベーションは低かったんです。正直に言ってしまえば、舐めていた。お客さんが目の前にいるわけでもないのに、なんでこんなことをしているんだろうと思ったこともあります。でも、30代になったときにその意識が変わっていったんです。
 
 
長年の経験の中で、仕事に対する向き合い方に変化があったという古田さん。映像作品への考えが変わったのには、どのようなきっかけがあったのだろうか。
 

どの作品でも全力の芝居を提供する

 
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年齢を重ねて、オイラが映画やドラマに出ることを喜んでくれる人、熱心に応援してくれる人がいることがわかってきました。だから、その方々に喜んでもらうために一生懸命にならなきゃいけないなと思うようになったんです。
 
当時、オイラはラジオ番組のパーソナリティも務めていました。だから、撮影中のドラマのスタッフに「ラジオの生放送が夜中まであるから、この日に撮影するのは難しい」と言ったんです。すると、そのスタッフは「待ってます! ラジオが終わったら来てください!」と言うんですよ。マジかぁ! と思いましたね(笑)。
 
スタッフのみなさんが、命をかけて作品をつくっていることが、そのときようやくわかりました。だったらオイラも一緒に、命をかけて取り組まないとこの人たちに失礼だなと思ったんです。それまではどこかで「どうせ編集されちゃうんだろ」と思っていたのが、カットされないように頑張らなきゃなと考えるようになったんです。ある種の責任感が生まれたのかもしれません。
 
そうして意識を変えて仕事に取り組んでいくと、舞台作品でも映像作品でも、俳優がやらなきゃいけない仕事はそう変わらないんだなと思うようになったんです。舞台の上で芝居をしているときも、カメラの前で芝居をしているときも、全力で臨むこと。それだけなんですよね。結果として映像作品では後から編集されることもあるけど、俳優側が提供するものは変わらないのか、と今は考えています。
 
20代まではアウトローな役しか演じたくないという気持ちがありました。でも今は、マイホームパパとかを演じているとおもしろくて自分で笑っちゃいますよ。子どもを抱っこしているときに、心の中では「オイラ、こんな良いやつじゃないのにな」って思っています(笑)。