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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

個人価値が高まるクラウドを目指し
OKWaveが実現する幸福論

 
 
  「着眼点の違い」。端的に言えば、そのようにくくれるかもしれない。だが、OKWaveの 「情報のギブ・アンド・テイク」 のように、第三者のために奉仕的活動を行うためには、まず何より強い自分を持っていなければならない。明確な志を持ち得ているからこそ、途中で考え方がブレずに目的に向かうことができるのだ。兼元流のマインドマネジメント術は、近い人間関係においてもあてはまる。
 

目的と認識を近しい人たちと共有する

 
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 自分が働く目的が見えたならば、次は近しい人たちとその目的を共有することが重要です。意外にバラバラなことが多いんですよね。そうすると、仕事と家庭の間でゆれたり、「どちらに重きを置くか」 という変な選択を求められる破目になってしまう。ちょっとした笑い話ですが、「私と仕事とどちらが大事なの?」 とか、奥様や恋人に迫られて困ってしまうケースなんかもありますよね。それは 「働くこと」 が、自分と、自分を取り巻く周りの人たちの中で、同じ認識になっていないからです。
 そこでオウケイウェイヴでは 「社員の家族に対する会社説明会」 というものを開いています。どんなものかと言いますと、社員の奥様や旦那様や子どもさんを会社にお招きして、社員たちがどんな仕事に取り組んでいるのかを、丁寧にお話しするんですね。実は、意外と自宅では仕事の話ができないことって多いでしょう? 奥様も働かれているご家庭ならば、家族の対話の機会もなかなかとれない。とれたとしても、子どものことなど優先順位の高いテーマを話していれば、やがて時間がなくなってしまう。子どもたちにしてみれば、自分の父親がどんな仕事をしているのか知らないわけです。そこで会社の事業や社員の役割などを説明してあげれば、自分の父親 (母親) が社会の一員として、また実生活において 「こんなところで役立っているんだ」 と理解してもらえるんです。
 オウケイウェイヴの説明会では、子どもたちが自分の名刺を作ってお父さんと名刺交換をすることもあります。かわいらしいですよ~。 色や絵柄なんかを一生懸命工夫して作ってますから(笑) これって、お父さんの働く目的を子どもが自分の行動に写して体で理解したことになるんです。お父さんと名刺交換なんて普通は絶対しないけど、説明会によって家族の絆も強くなります。

 他には、「ありがとうカード」 という名刺サイズのメッセージカードを設置しまして、社内だけでなく社外でもそれを使うようにしています。単純なことで、嬉しいことがあったらそれに書いて相手に渡す。社外でも、たとえば家族の皆さんに渡したり、家族の皆さんから送られてきたり。そんなワンセンテンスのコミュニケーションを密に取るようにしていますね。
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オウケイウェイヴ社の入り口にある、「ありがとうカード」が貼られたボード。

 
 実際、OKWaveのサイト内でも、ベストアンサーを出していただいた方にポイントが加算され、ベストアンサーの高得点者には記念品をプレゼントする仕組みにしています。そうした社の内外での取り組みにどんどん新たな発想を加えていくわけですが、この環境を実現し、維持するためには、やはり社員が自分に自信と目的を持って、モチベーションを高く保てる会社でなければいけないんですよね。
 
 


 
 兼元氏は、まず 「自分のため」 が重要だと唱える。それができて後、初めて他者への奉仕ができるというのだ。確かに納得できる部分ではある。昨今の雇用体制の変化により、献身的な奉仕精神をもって会社に仕えることはなくなってきた。誰かのために献身することは美談ではあるし、尊ばれるのは間違いないが、自分という犠牲の上に成り立たせると、それは平等なコミュニケーション・インフラとは言えない。あくまで、相互理解が重要であり、それはOKWaveのスタンスからもはっきりと読み取れる。
 
 
 

目的の共有を遠くにまで広げていく

 
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新たにハートが加わったロゴマークの前で、ポーズを決める兼元氏。

 今、国家そのものが機能しづらくなっていますよね。政治批判をするわけではないですが、事実、国家が救済しえない人々も多くいる。それは経済全体でも同様で、利害関係だけを一義においた関係性のあり方というのは、もはや頭打ちしているということなんです。
 最近になってですが、OKWaveのロゴマークにハート、 「」 を加えたんですよ。これは、オウケイウェイヴがもう一度、一人ひとりの繋がりを丁寧にサポートするという原点に戻って取り組んでいることと、一人ひとりに繋がりの力を再認識してほしいというメッセージの表現です。
 ボランティア一つを例にとっても、様々な形態がありますよね。技術や労力を提供するボランティアの繋がりがあるならば、情報を提供するボランティア的な繋がりがあってもいい。そのような愛と奉仕をともなう繋がりを支援して、次の展開を生んでいくべきです。
 単純に通念化された会社経営の手法や考え方で市場に参加していると、もはや国家機能はある部分で麻痺し、市場は不況脱却への決め手を打てないわけですから、そこからの広がりはない。不況の影響からか、メセナだったり企業の付加価値を出す試みが縮小傾向にあると思いますが、本来はその反対に振れるべきなんですよね。
 
 ちなみに、私個人の考えですが、そのような繋がりで最も大事なのは食と教育です。WFP(国連世界食糧計画) で食糧を配給するためのインフラ整備を手伝ったり、学校を設立する支援活動も行っています。当社の社員たちは、オウケイウェイヴという企業ではなく、そのような考え方についてきてくれた面もあり、会社全体としてもそのような発想で活動することができています。
 こうした 「誰かのために自分ができることをする」、そしてそれを 「集める」 コミュニティがあちこちに生まれ、ネットを通じて、大きな労力や知識の集合体になってきています。OKWaveはまさにその典型的な例です。ITの分野でクラウドソリューションが急激に発展してきているのも、そうした 「相互助け合い」 が人類史上において一気に通念化してきたことの証明だと思います。
 
 
 

 

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