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沖縄の海の景色輝く焼き物
ガラスと陶器の融合が生む青
石垣焼窯元


◆伝統の油滴天目に輝く青
 世界が注目する石垣焼とは


日本有数の観光地・沖縄。首里城をはじめ多くの文化史跡や多彩な伝統工芸品、本土ではなかなか味わえない名物など、その魅力は枚挙に暇がありません。中でも透き通る海が美しい浜辺は、ぜひ訪れたいスポットです。
 
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石垣島に拠点を置く、石垣焼窯元
そんな沖縄が誇る海の美しさを世界に広め、後世にも伝えていこうと立ち上がったのが、石垣島に拠点を置く石垣焼窯元です。同窯元が制作する「石垣焼」は、中国・南宗時代に伝わった黒地に銀色の斑紋が輝く「油滴天目」に、沖縄の海を彷彿とさせる「石垣ブルー」と名付けられた青が映え、その美しさから皿やカトラリー置きは名立たる五つ星ホテルや高級リゾートで導入されています。また、石垣焼をトップにあしらったネックレスは上皇后陛下美智子様が見初めて購入されたほど。各国展覧会への出展実績も豊富で、イギリス・大英博物館などではコレクションとしても収蔵されています。
 
海の景色のような爽やかなブルーをまといながら高級感を漂わせ、日本、そして世界を魅了する石垣焼。新たに沖縄を象徴する工芸品となりつつある石垣焼の誕生秘話から制作過程まで、その世界をご紹介します。
 
 

◆焼き物の中に海を再現
 沖縄の新たなシンボルに


濃青とマリンブルーのグラデーションが、まるで海を閉じ込めたように美しい石垣ブルー。この色は、透明なガラスが共に使用する鉱石の成分と融合することにより発色し、二つとして同じものはないといいます。
 
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透明なガラスと鉱石の成分が融合して発色する石垣ブルー
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油滴天目の滴模様に映える石垣ブルーが目を引き付ける
 
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石垣焼窯元・金子晴彦当主
石垣焼のルーツは、同窯元当主を務める金子晴彦氏の父・金子喜八郎氏によって1970年に誕生した「よろん焼」にあります。もともと鹿児島・与論島で天目茶碗を試作していた喜八郎氏が焼き物にガラスを入れて焼成してみたところ、ガラスが薄青に発色。奄美・沖縄の観光発展を目指していた喜八郎氏は、きらめく波のようなその青から着想を得て、「次世代の沖縄を象徴する工芸品になれば」とガラスと陶器を融合させた焼き物づくりを開始しました。父の背中を見て育った晴彦氏は喜八郎氏の精神を受け継ぎ、“美ら海”のさらなる周知を目指してよろん焼の技術を継承。1999年、石垣島に石垣焼窯元を創設しました。
 
石垣焼の製造工程は、まず成形した粘土を素焼きし、鉄釉と呼ばれる、鉄分を含んだ釉薬を施釉。器の中心部には石垣島で採取される鉱石からの成分を塗り、そこに無色透明のガラスを乗せて焼成することで石垣ブルーが自然発色し、生まれます。ただ、ガラスと陶器の融合、また海を再現するグラデーションの創出は難しく、互いの収縮率の違いから割れてしまったりうまく発色しなかったりと、きれいに焼き上がる確率は決して高くないのだそう。大量に生産できないからこそ希少価値を誇る石垣焼。そしてその“顔”となる「石垣ブルー」と「油滴天目」は、職人の苦労と試行錯誤の末に生み出されているのです。
 
 

◆暮らしの中に海の癒しを
 バリエーション豊かなアイテム

 
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多様な皿やグラスを制作。焼き上がりの色味はすべて異なる
石垣焼を通じて沖縄の海をいつでも身近に感じてほしいという思いから、同窯元は日々の暮らしに寄り添うアイテムを多数作陶しています。中でも毎日の食卓に欠かせない食器等は種類豊富。食材の色彩を引き立たせる石垣ブルーは、おうちごはんにひと味違う特別感を演出するのはもちろん、おもてなしの席にもぴったりです。皿はオーソドックスな丸皿に加え、正角皿や楕円皿などをラインアップ。碗や鉢も数多く取りそろえているので、料理のジャンルを選ばずどんなシーンでも活躍してくれそうです。さらに、ぐい呑や焼酎グラス、ロックグラスといった酒器も多彩に用意。お酒を注ぐとゆらめく青が、いつもの晩酌から海を眺めているようなゆったりとしたひとときへと、変えてくれることでしょう。
 
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料理の種類を選ばず使えるプレート
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石垣ブルーが食材の彩をさらに引き立てる
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アクセサリーも青がポイントになり美しい
 
また、先述したネックレスをはじめ、ピアスや指輪などアクセサリー類も充実。キーチェーンやしおりといった小物も展開中です。ちなみに石垣焼のアイテムは、オンラインショップで全国から購入可能。オーダーメイドでの制作も受け付けているそうなので、気になる人は問い合わせてみてください。
 
海の青は副交感神経を刺激し、心を落ち着かせる効果があるといいます。食事をはじめ日常のワンシーンに寄り添い、静かな癒しを与えてくれる石垣焼を、ぜひ皆さんのお手元に。
 
 
 
 
石垣焼窯元
〒907-0021 沖縄県石垣市名蔵1356-71
TEL 0980-88-8722
営業時間 9:00~17:00
体験陶芸教室:10:00/13:00/15:00~※1日3回開催
https://ishigaki-yaki.com
オンラインショップ
https://ishigaki-yaki-shop.myshopify.com
 

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