信頼関係を大事にする
オフィスづくりのプロ
二代目として経営者の道を歩む覚悟を決める

藁粥 別会社に勤めていまして。この会社に入る以前は、大手電機メーカーのシャープさんの販売パートナーとして、家電製品の営業や販売、イベントの企画運営などに携わっていました。そこではBtoBおよびBtoCの両方の営業経験を積み、社内外のさまざまな方と関わる中で、商品を売るだけでなく人と人との信頼関係を築くことがいかに大切かを学んだんです。その経験は、今の仕事にも生きていますね。その後、先ほどお話しした通り、父が倒れたのをきっかけに、父の仕事を手伝うためにこの会社に入ったんです。
水野 ということは、藁粥社長が現在のお仕事をされるのも、予想外の出来事だったんですね。ちなみに、お父様の会社を継ぐ予定はあったんですか?
藁粥 全然ありませんでした(笑)。
水野 えっ!? 即答ですね(笑)。まったくなかったとは驚きです!
藁粥 父は仕事へのプライドが高く、私に会社を継がせるつもりはなく、私自身も反発し継ぐ気はありませんでした。そのため、父は会社をたたむつもりで準備を進めていたんです。しかし、父が倒れたことでこの会社の仕事を手伝うようになってから、気持ちが大きく変わりました。
水野 大きな心境の変化があった、と。お父様からの熱い説得があったのでしょうか?
藁粥 それは相変わらずなかったです(笑)。でも、この会社を頼りにしてくださっていたお客様に対して申し訳ないと強く感じましてね。地域の方々の、父への信頼が厚いんですよ。それを目の当たりにしたとき、長年この地域に根差してお客様からの信頼を積み重ねてきたこの会社を、終わらせるのはもったいないと思ったんです。
水野 なるほど。普段の父親の姿と、家では見せない経営者としての姿の違いですね。私の父も自営業で建築関係の職人なのでわかります。いよいよ本気でお父様から会社を受け継ぐ覚悟を決めたわけですか。
藁粥 ええ。とはいえ、会社を継いでからは本当に大変で、猛勉強の日々でした。父は倒れてから体が弱っていたこともあり、会社経営について多くのことを教えてもらうのが難しかったんです。
水野 もともと家電製品を取り扱うお仕事をしていたとはいえ、エムエス商会さんで取り扱うオフィス機器と家電とでは、異なる専門知識が必要だったのではないでしょうか。

水野 多くの方々がエムエス商会さんのためにと動いてくださったとは。普段のお父様の人柄が見て取れる、素敵なエピソードですね!