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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

稀少な国産キクラゲを
都市型農業で全国展開

 

起業の場所に選んだのは、日本一暑い街

 
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矢部 そもそも、農業で起業なさるきっかけは何だったのですか?
 
山川 長年Webを中心とした広告業界で働いており、多種多様な業界にネットワークを広げてきました。そんな中、次第に日々の生活に欠かすことのできない“食”について追求したくなり、当時、比較的近代的な取り組みであった葉物野菜を栽培している農業法人に就職したんです。ベンチャー要素の強い新たな農業生産方法や栽培方法、環境整備等に従事したことで得たノウハウを基に、都市型農業の可能性を多くの人に知ってもらいたくて、埼玉県の熊谷という日本一暑い街で起業したんです。厳しい環境で農業ができるなら、どの都市でもできるという証明になりますからね。
 
矢部 なるほど。ちなみに、現在キクラゲを栽培なさっているのはなぜでしょう? 国産が少ないということは、それだけ育てるのが難しく、農家さんが生産を避けてきた作物だと思うのですが。
 
山川 菌床栽培できることが大きな理由でした。省スペースで高収益を上げられるので、土地に限りがある都市での農業に最適なんですよ。栽培の難しさについては、矢部さんがおっしゃる通り、通年で一定の品質で生産するのは困難な作物と言われていました。ただ、経験上、通年栽培は難しくないだろうと思っています。
 
矢部 えぇ!? それまたどうしてですか?
 
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山川 キクラゲの栽培生産環境を整えるうえでいくつかクリアすべき点はあるものの、水耕栽培と比べて採算性が高く、日々データを取り管理してきた経験から問題なくできると考えました。もっとも、やってみると、やはりキクラゲの通年栽培は簡単ではありませんでしたね(笑)。
 
矢部 農業にどっぷり浸かっていたら、もしかするとその考えは出なかったかもしれませんね(笑)。通年栽培を実現可能としたポイントは何だったのかも気になります。
 
山川 ポイントは温度・湿度・二酸化炭素量・空気の流れの管理が比較的容易にできる時代になったということです。キクラゲはキノコの一種なので、乾燥した空気が苦手なんですよ。そのため、空調での温度管理は適していません。そこで私たちは地中熱利用による生産システムを開発した人物と出会い、導入を決めました。建屋の中にシステム管理ができるブースを設置したことで、通年で栽培ブース内の環境を一元管理できデータの可視化とIOT化を実現できたのです。