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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

予算も設計も工夫次第
現場出身だからこそ

 

ギリギリを攻めた設計で職人魂に火をつける

 
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吉井 現場監督時代の経験が現在にも活きていると感じることはありますか?
 
土屋 現場でのつくり方や納め方を具体的にイメージしながら設計できることですね。デザインのおもしろさや斬新さだけでなく、現場での裏付けが取れた説得力のある設計を心がけています。
 
吉井 それってすごい強みですよね。ドラマでも脚本家さんが思い描いたイメージを映像化するために、脚本家さんと監督さんが何度も話し合い、少しずつ進めていくんです。それを見て私は、ものづくりって本当に大変な仕事だなぁといつも思っていました。建築でも、「このデザインは譲れない」という設計側と、「そのデザインは安全なの? 工期や費用は大丈夫?」という職人側とで温度差があり、トラブルが起こりやすいと聞きますよ。
 
土屋 おっしゃるとおり、設計側と施工側が衝突することはままあります。でも私は、そのやりとりもこの仕事の醍醐味だと感じています。というのも、「ここまでできますか?」というギリギリのラインで設計すると、職人さんもプロ魂に火がついて、「それならいっちょやってみよう」という気になってくれるんですよ。
 
吉井 職人さんの気持ちを熟知する、土屋代表ならではの駆け引きですね!
 
土屋 そうですね。実は今でも信頼できる職人さんに直接依頼して、施工管理まで私が担当することもあるんですよ。
 
吉井 息の合ったチームで最後まで担当していただけるのは、施主さんの側としては心強いですよね! お話を聞いていると、なんだか難しい注文にも応えてくれそうな気がします(笑)。
 
glay-s1top.jpg 土屋代表の設計による建物の例
土屋代表の設計による建物の例
土屋 お客様と意見交換しているうちに、当初とはまったく違う設計になることもありますね(笑)。今手がけている案件でも、最初のプランにはなかった「和風」の要素を採り入れて再設計しました。
 
吉井 すごい! 途中のプラン変更にも柔軟に対応してもらえるとは恐れ入ります。
 
土屋 設計の解は一つではありませんからね。もちろん許される時間の中でどこまでできるか、という話ではあります。採光、風の道、隣の建物との兼ね合いなど、どんな土地環境でもアイデア次第で、より快適な家にすることができるのです。そのうえで私は、施主様の想像を超えて「こんなこともできるんだ!」と驚いていただける仕事を常に目指しています。
 
吉井 建築士としてのこだわりですね。土地環境の問題をアイデアで解決した事例にはどんなものがありますか?
 
土屋 例えば、南側三方を建物に囲まれた土地にお家を建てたケースでは、お隣の屋根の軒先の高さと2階リビングテラスのウッドフェンスの高さをそろえ、屋根上から採光できる工夫を凝らし、開放感を感じられる家にしました。
 
吉井 なるほど。そういうお話をうかがうと、土地環境に合わせて家を設計することの大事さが実感できますね。