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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

 
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インタビュアー 原田龍二(俳優)
原田 東京・銀座のバー、ダルトンさんにうかがっています。この一枚板のカウンターは見事ですね! これほど立派なカウンターのバーは今まで目にしたことがありません。ていねいに磨き抜かれた店内も素晴らしいです。ほの暗い店内に光り輝くウイスキーのボトルは神々しいほど。まさに銀座という名を冠した店名に相応しい、厳かで重厚な雰囲気がありますね。
 
石澤 ありがとうございます。ダルトンは今年、2017年の3月で開業50周年。私の父であり、お客様や同業者から「ミスターバーマン」とも呼ばれる石澤實(こくざわ みのる)が始めました。店内には常時、1000種類以上のお酒を用意しております。実は、初めてマッカランを持ち込み日本に根付かせたのは、父なんですよ。
 
原田 なるほど、それでマッカランのボトルが多く並べられているのですね。
 
石澤 はい。年代や仕込樽の異なるマッカランをそろえております。父は50年前、スコットランドを訪れた際にマッカランを口にし、「これは絶対に日本人の味覚に合う」と確信したそうです。マッカランのみならず、日本でオーセンティックバーのスタイルを確立したのも父で、業界ではまさに神のような存在なんですよ。
 
原田 今の話だけでも、先駆者であることが充分にわかります。神様と言われるのも当然ですね。それほど偉大な先代の跡を継ぐことには、相当なプレッシャーがあったでしょう。
 
石澤 私は学生だった16歳の頃から父の仕事の手伝いをしていました。でも実は、跡を継ぐ気はなかったんです。ただ、続けているうちに20代半ばあたりから仕事の醍醐味を感じるようになりましてね。今では天職であると確信しています。とはいえ、若い頃は父と衝突することも多く、一時は父の下を離れ、独自でバーを経営していたこともあるんです。心が通じ合えたと感じられたのは、父が他界する数年前でした。
 
原田 お父様はすでにお亡くなりになっているんですね・・・。
 
石澤 はい。生涯現役を貫くと宣言し、他界する1週間前までカウンターに立っていました。50周年を迎えることを楽しみにしていたので、近く、父の誕生日に合わせて記念パーティーを催す予定です。
 
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原田 お父様もマッカランを飲みながら、天国で喜ばれることでしょう・・・。生前のお言葉で、何か心に残っているものはありますか。
 
石澤 「バーの経営には4Sが大事だ」と教えられました。1に清潔、2にスピーディ、3にサービス、4にスマイル。それぞれの頭文字のSをとって4Sですね。
 
原田 シンプルですけど店舗運営の極意を感じます! 先代の大事にしていたことを、石澤社長も守り続けているわけですね。