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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

物づくりの価値を
世界へ紡ぐアパレル商社

 
 
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名高 中国で作って日本で売るファストファッションとは逆の方向ですね。日本の物があちらで売れるのは誇らしい気分です。
 
村尾 ダイドーグループ自体が、、デパートの特選売り場に並ぶような高品質の服づくりをしてきましたので、スケールと価格で勝負するファストファッションとは基本的に視点が違うのです。どちらがいいという話ではありませんけれども。
 今までは高付加価値品を日本で生産して中国に輸出していましたが、今後は、中国現地のバイヤーの方とも商談をさせていただきながら、中国の方々に満足いただける高付加価値品をお届けできるよう、各仕組みを整備することが弊社の役割だと考えています。世界基準として認められるような高付加価値品生産のスキームを現地で確立して、欧米でも販売できるようにしていきます。
 
 

世界に向けて日本の匠を発信

 
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▲ダイドーインターナショナルHP

名高 やはり、ファッションのメッカであるヨーロッパを最終目標とされていますか。
 
村尾 ヨーロッパは各国とも物づくりを尊ぶ気風に根ざしており、イタリアならイタリアの主張がありますからね。ファッションの起源と呼ぶにふさわしいシンボルエリアです。比べてアメリカでは、トレンドにスピード感とスケール感があり、エキサイティングな仕事ができます。
 翻って日本は、世界中の情報が集まるという意味で確かに吸収力はありますが、特にファッションマーケットとしては非常に移ろい易い。ただし、日本人は感性や丁寧さの部分が非常に優れていますので、付加価値の高さで勝負するダイドーグループとしてはその点を最大限強みにしていくべき、と考えています。
 
名高 日本発のトレンドを世界に仕掛けようというわけですね。楽しみですね。
 
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村尾 日本にはシルクや綿、麻などを使った優れたテキスタイル (織物・染物・編物) がたくさんあります。それが継承者不足などから埋もれつつあります。これは非常に惜しいことです。
 そこで、今後は日本を代表するテキスタイルデザイナーの梶原加奈子氏とのコラボレーションで、友禅や染め物など日本の匠の技を活かしたテキスタイルによるバッグやスカーフ、生活雑貨などを揃えたライフスタイルブランド 「gredecana (グリデカナ)」 を立ち上げ、国内及び欧米に発信していきます。
 
名高 ヨーロッパに退けを取らない、日本ならではの美的センスをぜひPRしてもらいたいです。
 
村尾 また、昨2009年秋には、銀座にオーダーメイドの紳士服や婦人服を提供する 「ダイドーテーラリング・スタジオ」 をオープンしました。商材に最適な販売チャネルを確保することにより、ファストファッションとはグレードの違うSPAスキームが着々と確立されつつあるわけです。