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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

“食”のプロが手がける
障害福祉サービス事業

 

農業を軸にした福祉サービスの取り組み

 
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水野 あらためて、現在の事業内容について教えてください。
 
大地家 就労継続支援A型事業所の運営を中心とした福祉サービス事業を行っています。先ほどもお話しした通り、もともと食品加工工場を運営していましたので、“食に特化した福祉の会社”を目指しているんです。
 
水野 それで大地家社長は、農業に力を入れているわけですね。
 
大地家 そうなんです。コロナ禍の影響もあって現在ではリモートワークも一般に普及し、在宅でできるIT系の就労支援が人気となっていますよね。もちろんIT系の仕事も素晴らしいものの、やはり体を動かしながら自然と触れ合うことで得られる達成感や喜びといった価値も大切にしなければならないと考えています。そこで弊社では、障がいを持つ方が農業を通して社会とつながれるように、農園カフェのような形での就労支援も視野に入れていまして。自身が育てた作物を使った料理を食べることで、感謝の気持ちや食のありがたさも感じられますし、ご家族や親御さんにとっても大きな喜びになると思いますね。
 
水野 素晴らしい取り組みだと思います! 食べる喜びを体感するのは何よりの学びですよね。
 
大地家 本当にそう思いますね。さらに、「アクアポニックス」という魚介類の養殖と、野菜の水耕栽培を組み合わせた完全循環型システムを用いた取り組みも進めています。これは、魚の排泄物を栄養として野菜が育ち、野菜が水を浄化することで再び魚へと水が戻るという仕組みでして。食品加工工場では、主に食肉を取り扱っていましたので、これによって「肉・野菜・魚すべてを自社でまかなえる」と考えているんです。
 
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水野 アクアポニックスといえば、SDGsの観点からも非常に注目されていますよね。でも、福祉業界でアクアポニックスを取り入れている会社は珍しいでしょうし、とてもユニークな取り組みだと思います。
 
大地家 ありがとうございます。弊社ではアクアポニックスを利用して、ヒゲナマズという魚の養殖を計画しています。ナマズというと日本では泥臭いイメージがあるでしょう。ですが、ヨーロッパなどでは一般的に食されており、実は鶏肉みたいな食感であっさりしていておいしいんですよ。
 
水野 へえ~。それは意外です! それにしても、食べものは本当に大切ですよね。健康にも直結するわけですし、「自分たちが食べるために食材をつくる」という活動をしている施設は本当に少ないと思います。だからこそ、大地家社長の取り組みはとても革新的だと感じますよ。