私に指摘されてトラウマ?
でも、それは“メタ認知”の問題だった
「私に指摘されたことがトラウマ? 何で?」と思って聞いたら、私が、彼の課の打合せの席で、課長の隣に座って議論に参加していない彼を見限って「キミと話しても進展しないからもういい」みたいなことを、ついチラッと言っちゃったんだよね。それで傷付いてまともに向き合えないって。
私としては、もう10年近く一緒に働いている部下だから、「もうちょっと成長してくれよ~」というニュアンスで、それも他人事のようにしている姿勢に対して不満を伝えたんだけど、彼はそれを感情で受け取ったらしく、自分の人格を否定されたと思ってしまったらしいのだ。
なんでそんな食い違いが起きるんだろうと思ってChatGPT――に相談したら、“メタ認知”の問題ということに気付かされた。
中学三年のときの経験
当時は私もメタ認知ができなかった
それで、後ろの席に匂ってきた。私は咄嗟に、「くっせー!」と反応してしまった。そして、「こいつうんこ漏らしやがったー」と囃し立ててしまった。だってホントに臭いんだもん。しょうがないじゃないか。それに、彼は学年トップの優等生だよ、ここぞとばかりに調子に乗って囃し立てるぐらいのことはしてしまうよ。
そして次の日。Aくんが学校に来なかった。転校すると言い始めたらしい。そうしたら、学年中のクラス担任教師たちが来て、私の首根っこをつかんで宿直室かどこかに連れていって、今なら体罰だけど、「A君は我が校の宝、お前はカス、お前が転校しろー」と私を一喝した。
そんなことがあったなんて、家に帰っても言えない。だから親にも黙ったままで、翌朝、学校に行く途中の10階建てのビルに上がって、屋上から飛び降りようとした。けど、飛んだ瞬間、まだこれをしてない、あれをしてない、という楽しい光景が目の前に広がってね。手が自然に後ろに伸びてギリギリで手すりをつかんで、それで死なずに済んだ。
そのまま午前中の授業をサボって、学校に行ったら、遅刻してきた私を捕まえて教師たちが、「どこに行っていた」と大騒ぎした。それを見ていたら、なんだか馬鹿らしくなっちゃってね。こっちは半分一回死んでギリギリ戻ってきてここにいるのに、この人たちは何を見て、どこに向いて焦っているのかって。昨日の体罰がバレたんじゃないかとか、教育委員会で問題になるとか、多分その類のことだったろうけどね。
今思えば、教師たちの論理もわかる。Aくんは学校一の秀才で、私は下から数えたほうが早かった不良生徒だ。学校という組織にとってどちらが優先対象かなんて、一目瞭然だ。そりゃそうさ、中学校ごとの高校合格実績だって学校の評価になるんだから。
だけど、この理解――学校側の立場、事情、etc・・・――に考えが及ぶかどうかも、まさに“メタ認知”の範疇であってね。それでいくと、そのときの私はそこまでのメタ認知能力はなかった。だから、「そりゃそうだよな。学校的にはそうするよな」と相手の論理を推し量ったうえで、それとは切り分けて、「だけど、俺にしたら堪ったもんじゃないぞ。こっちはこっちで納得いかないぞ」と自分の感情も大事にするということができなかった。
賢い・賢くないもメタ認知の差
教わってないなら教わればいい
しかし、まぁ、今のご時世に照らせば、私の彼への言い方は、キツい・キツくないを飛ばして“一発アウト”だったんだろうな。私の世代はまだ父性的な愛――厳しい愛――が健在だったけど、今の世代は母性的な愛――やさしさ一辺倒の愛――だけで育ってきてるからね。彼に限らずだけど、全肯定で全受容してもらわないと不安になっちゃうんだ。ちょっと相手の側に立って「どうしてそんなこと言うのかな」と考えれば、怒ったり叱ったりしている時点で愛情はちゃんとあるのがわかるはずで、そうとわかれば、不安になんかならないんだけどね。
言い方がキツい・キツくないの件に関しては世代間ギャップが絡むとして、相手との関係やその時々の状態を俯瞰して見れないという意味での“メタ認知の不足”に関しては、これはもう、正直、馬鹿か賢いかの違いだと思う。少なくとも私は、いつの頃からか、他人に対して賢い・賢くないの判断をその基準でするようになっている。
ただし、それは知識や見識という頭の良さという意味ではない。単にメタ認知を働かせるやり方を教わってこなかっただけだ。その社員に対しても――というか、うちの社員のほとんどに対してだけど――、私は今、どうやってメタ認知を働かせるかを教えている。
何も難しい話じゃない。要は感情や行動を数値化、文字化、言語化、客観視して扱えるようになろうということだ。例えば、どうしようもない理由で訪問予定に遅れそうなときに、5分遅れそうであれば「15分遅れます」とお知らせする。仮に見込みが違って10分遅れで着いても、相手は「意外に早かったな」と思うだけで、イライラは来ない。でも、5分遅れで伝えて10分遅れになったら、相手はイライラMaxだろう。もし、それが商談だったら、どっちが有利に運ぶかは言わずもがなだ。「10分遅れ」という事実は同じなのにね。
ちなみに言っておくと、彼はもう、私へのトラウマはなくなっていた。「こういうことじゃないか?」と、ChatGPTを間に挟んで互いに話し合ったからだ。AIの使い方の一例として、今回の話を参考にしてもらえたら幸いです。
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(2025.11.19)
著者プロフィール
佐藤 勝人 Katsuhito Sato
サトーカメラ代表取締役副会長/日本販売促進研究所.商業経営コンサルタント/想道美留(上海)有限公司チーフコンサルタント/作新学院大学客員教授/宇都宮メディア.アーツ専門学校特別講師/商業経営者育成「勝人塾」塾長
経 歴
栃木県宇都宮市生まれ。1988年、23歳で家業のカメラ店を地域密着型のカメラ写真専門店に業態転換し社員ゼロから兄弟でスタート。「想い出をキレイに一生残すために」という企業理念のもと、栃木県エリアに絞り込み専門分野に集中特化することで独自の経営スタイルを確立しながら自身4度目となるビジネスモデルの変革に挑戦中。栃木県民のカメラ・レンズ年間消費量を全国平均の3倍以上に押し上げ圧倒的1位を獲得(総務省調べ)。2015年キヤノン中国と業務提携しサトーカメラ宇都宮本店をモデルにしたアジア№1の上海ショールームを開設。中国のカメラ業界のコンサルティングにも携わっている。また商業経営コンサルタントとしても全国15ヶ所で経営者育成塾「勝人塾」を主宰。実務家歴39年目にして商業経営コンサルタント歴22年目と二足の草鞋を履き続ける実践的育成法で唯一無二の指導者となる。年商1000万〜1兆円企業と支援先は広がり、規模・業態・業種・業界を問わず、あらゆる企業から評価を得ている。最新刊に「地域密着店がリアル×ネットで全国繁盛店になる方法」(同文館出版)がある。Youtube公式チャンネル「サトーカメラch」「佐藤勝人」でも情報発信中。
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