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繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート vol.110 いい齢をして男泣きに泣いた年の瀬。強がる恩師にかけた言葉と、来年への誓い

ビジネス 繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート vol.110 いい齢をして男泣きに泣いた年の瀬。強がる恩師にかけた言葉と、来年への誓い 繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート 商業経営コンサルタント/サトーカメラ代表取締役副会長

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皆さんこんにちは! 佐藤勝人です。この記事が出る頃はもうクリスマス。終われば年末、すぐ大晦日だ。年の瀬に際し、皆さんと同じく「今年もあっという間だったなぁ~」と振り返る、その気持ちの中に、私の場合、「今年のうちに知らせてもらえて良かったな~」と思う事柄が一つある。生涯の恩師である宮内亨さんの身に起きた出来事だ。
 
 

9月に恩師を襲った異変
強がる本人に向けて出た私の言葉は

 
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宮内さん(右)と岡村さん(左)と。来年はもっと会いに行きます
宮内さんはこの連載の読者にはもうお馴染みだよね。そう、元船井総合研究所取締役本部長で船井幸雄の懐刀、大阪で有限会社経営コンサルティングアソシエーションを立ち上げ、長年現役バリバリで顧客を支援しつつ後進の育成にも当たってきた人物だ。私をコンサル業界に引き入れた人であり、私の“現業経営とコンサルタントの二刀流”の生みの親でもある。
 
その宮内さんが、今年9月、出張先の福岡で倒れた。脳の血管をやっちゃって、処置が良かったし、すぐに病院に入れたからダメージが少なく済んだけど、そのままになっていてもおかしくなかったそうだ。
 
それを私が知ったのが、今月初旬にたまたま大阪勝人塾をやった、そのときだった。宮内さんの会社の幹部に「実は宮内さんが9月に・・・」と知らされた私は、大阪から和歌山の支援先を回って週末栃木に帰る予定だったのを急遽変更し、飛行機をキャンセルして出張を延ばし、大阪の事務所で宮内さんに会ってから帰ることにした。
 
それで会ったら、宮内さんは一所懸命、「俺は大丈夫だ! 俺は強い! この通り、まだまだ後の者には負けん!」とアピールする。平たく言えば、イキってる。周りも「そうだそうだ。さすがセンセイだ、宮内さんだ。何も心配ない」と同調する。そりゃそうさ。びっくりして福岡の病院に駆けつけたら、あっちの支援先の社長さんとか院長先生とかと病室でワイワイ元気に話していたらしいからね。
 
だけど・・・、私は「そんな頑張らなくていいよ、もう」と感じたんだよね。宮内さんは今年で79歳。6年前に奥さんも亡くされて、そこから一人で頑張ってきた。頑張っている。不如意なことも多かっただろうと思う。今回倒れたのだって、自身は不安で不安で仕方なかったはずだ。――けど、弟子とかクライアントとかの手前、“強い宮内亨”で居続けなきゃいけない。弱さを見せられない。年齢相応に老いていたとしてもだ。
 
だからだろうか、一所懸命イキがって見せる宮内さんに向けて私が発した言葉は、「先生、それはわかったから。強いのわかってるから。充分ですよ。それより、生きてて良かったじゃないですか。それが何よりですよ。生きてて良かった」というものだった。本当に自然に、考えるより先にその言葉が口をついて出た。そして、知らず知らず涙が溢れてきた。そうしたら宮内さんも泣き始めた。そこから二人で男泣き。「良かった。良かった」って肩を叩き合いながらね。周りは困ってたけどね(笑)。
 
宮内さんを見ながら思ったなぁ・・・。「俺も同じ齢になったらこうなるのかなぁ。強がって、イキって、自分を鼓舞して、頑張っちゃうのかなぁ」って。だって、自分が認めたら本当に終わりだもの。周りが期待してくれている間は、強い自分であろうとし続けちゃうよ。
 
だけど、人間、どうやったって、生老病死は免れないわけでね。そういう自然の摂理が巡ってきたときに、それとどう向き合うかというのも、影響力のある先輩が後進に見せることができる“教え”の一つだろうと思う。
 
また、宮内さんの会社の幹部たちが私に対してはすぐには知らせなかった気持ちも、私はわかるつもりだ。私の解釈だけど、栃木から京阪神は遠いし、そもそも私は外様だから。仮に松下村塾に喩えるなら、宮内さんが吉田松陰、後継社長である岡村さんは久坂玄瑞で、私が・・・高杉晋作ということになるんだろうなぁ。先生との関係性においても、資質面でもね。
 
岡村さんは宮内さんの一番弟子だ。それは万人が認めるところだ。吉田松陰の思想・信条を誰にとってもわかりやすく翻訳し、世に広めるのがうまい。松下村塾のエリートだ。松陰先生もそれを認めている。コンサルタントとしての能力もある。――けど、どこかで物足りないわけだよ。それよりも、塾からはみ出て外の世界で好き勝手に暴れている高杉晋作のほうが、見てて危なっかしいぶん、かわいく感じちゃうんだ。
 
あくまで私の勝手な解釈だけど、もう27年の付き合いだからね。お互い同志のような、父親と息子みたいな間柄だから、たまに余人が入り込みにくい雰囲気になっちゃうことは許してほしいです(笑)。
 
 

失敗から学ぶ。“構造”をとらえる。
それでこそ一流のコンサルタント

 
宮内さんと私に共通していることはいくつかあって、「失敗から学ぶ」「現象を構造でとらえる」「クライアントと長く関係が続く」というあたりがその代表だ。うち前二つに関して、先日、印象的な出来事があった。
 
笑い話で聞いてほしいんだが、支援先のショッピングセンターで販促の指導をしたときのことだ。施設内の各専門店が、1枚のチラシの中で、一コマずつクーポンを出していた。切り離して該当店舗で使う方式のクーポンチラシだ。
 
どれもこれも「いまいち」と一目でわかる出来で、反響を聞いても微妙なんだけど、その中に一店だけ、成果を上げたクーポンチラシがあった。下着屋さんで、載せた情報はたったの3つ。『ワコール ショーツ 二枚目30%引き』これだけだ。
 
それだけなんだけど、私は「この店主、わかってるな~」と思った。なぜって、掲出した情報を“構造”でとらえたときに、このチラシは商売の基本を完璧に押さえているからだ。
 
情報の構造はこうだ――「①ナショナルブランド ②生活必需品 ③安い」。ナショナルブランドは誰もが知っている。生活必需品は一番数が出るアイテムだ。それが世間相場より“安い”となれば、売れるんだよね、やっぱり。商売の基本はこれなんだよ。決して難しい話じゃないんだ。
 
しかも、このチラシは「二枚で15%引き」じゃないところもうまい。私が「同じことじゃない?」とわざとツッコミを入れたら、店主は「30%だからいいんです。15%じゃダメなんです!」と即答したから、たまたまじゃない、意識的だ。「わかってるな~。センスあるな~」と感心した。
 
物事や現象を構造でとらえることができれば、「この業種だと何がここに当てはまる?」というふうに、他の業種・業態にもどんどん考え方を応用していける。だからなんだよね、私や宮内さんがどの業種・業態にも対応できるのは。
 
こうやってつらつら考えると、宮内さんにもまだまだ、できる範囲で頑張ってもらって、「一流のコンサルタントとはどういうものか」を世に示してもらいたいなぁ・・・。来年の大阪での勝人塾は事務局にお願いして、極力都合をつけて、できるだけ宮内さんと会おうと思っています。
 
 
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繁盛請負人佐藤勝人の時事国々リポート
vol.110 いい齢をして男泣きに泣いた年の瀬。強がる恩師にかけた言葉と、来年への誓い
(2025.12.24)
 

 著者プロフィール  

佐藤 勝人 Katsuhito Sato

サトーカメラ代表取締役副会長/日本販売促進研究所.商業経営コンサルタント/想道美留(上海)有限公司チーフコンサルタント/作新学院大学客員教授/宇都宮メディア.アーツ専門学校特別講師/商業経営者育成「勝人塾」塾長

 経 歴  

栃木県宇都宮市生まれ。1988年、23歳で家業のカメラ店を地域密着型のカメラ写真専門店に業態転換し社員ゼロから兄弟でスタート。「想い出をキレイに一生残すために」という企業理念のもと、栃木県エリアに絞り込み専門分野に集中特化することで独自の経営スタイルを確立しながら自身4度目となるビジネスモデルの変革に挑戦中。栃木県民のカメラ・レンズ年間消費量を全国平均の3倍以上に押し上げ圧倒的1位を獲得(総務省調べ)。2015年キヤノン中国と業務提携しサトーカメラ宇都宮本店をモデルにしたアジア№1の上海ショールームを開設。中国のカメラ業界のコンサルティングにも携わっている。また商業経営コンサルタントとしても全国15ヶ所で経営者育成塾「勝人塾」を主宰。実務家歴39年目にして商業経営コンサルタント歴22年目と二足の草鞋を履き続ける実践的育成法で唯一無二の指導者となる。年商1000万〜1兆円企業と支援先は広がり、規模・業態・業種・業界を問わず、あらゆる企業から評価を得ている。最新刊に「地域密着店がリアル×ネットで全国繁盛店になる方法」(同文館出版)がある。Youtube公式チャンネル「サトーカメラch」「佐藤勝人」でも情報発信中。

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 オフィシャルフェイスブック 

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