B+ 仕事を楽しむためのWebマガジン

スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

 
 
目の前の仕事一つひとつに真摯に取り組み続けた結果、今があるという菊川さん。これまでに目標などを掲げたことはなかったと語ってくれた。ただ、最近は演じてみたい役柄も出てきたのだと言う。
 

小さな積み重ねを大切に歩み続ける

 
一つひとつの仕事に真剣に取り組んでいくという働き方は、これからも変わりません。ただ、8年ほど現場を離れていたことで、「この年齢になったからこそできる役もあるのではないか」と考えるようになりました。年齢を重ねると経験も増えますし、価値観にも変化がありますよね。今の私だからこそできる、役への向き合い方があるのではと思っています。
 
今まで演じたことのない役柄をやってみたいという気持ちもあります。例えば、悪役も演じてみたいですね。ストーリーの解釈なども年齢を経て、さまざまな視点から考えられるようになりました。現場から離れていた期間が長かったからこそ、できる表現もあるのだと前向きに捉えていきたいです。すべての経験が糧になるお仕事ですからね。
 
お芝居の仕事をしていない間も、映像作品などを見て学ぶことは多かったですよ。この仕事をしていると、純粋に作品に没頭するというのはなかなかないのかもしれません。どれだけ楽しんで観ていても、頭のどこかで「この演技良いな」とか「きっとこんな感じで撮影したんだろうな」と考えているんです。
 
お芝居のほかでは、AIについても興味があります。時代の変化にしっかりとついていきたいんですよ。新しいものはわからないからと敬遠するのではなく、若い方々に学びながら時代に適応していきたいと思っています。何歳になってもチャレンジできる自分でいたいですね。
 
子どもがいることもあり、教育分野とAIが融合した事業に興味を持っています。柔軟に楽しみながら新しい知識を学び、いつかそれが仕事につながったら最高ですね。仕事を楽しむためには、小さな目標を持っておくことが大切だと思っています。例えば、私の場合今日このインタビューが終わったら、子どものお迎えに行くまでに何品ごはんをつくるのか。簡単なものでも良いんです。目標を立てることで「よし、やるぞ!」という気持ちになれるし、達成感も得られます。
 
何事も、積み重ねが大事だと思っています。小さな目標の積み重ねが、いつか大きな目標の達成につながりますよね。仕事も一つひとつ集中して取り組んでいくこと。その積み重ねが今の自分につながっていますから、今後も一つひとつの仕事を楽しみながら成長を続け、日々を積み重ねていきたいです。
 
 
(インタビュー・文 中野夢菜/写真 Nori/ヘアメイク 山田典良/スタイリスト 梅田春佳)
 
 
glay-s1top.jpg
菊川怜(きくかわ れい)
1978年生まれ 埼玉県出身
 
大学生の頃にスカウトされたことをきっかけに、モデルとしてデビュー。1999年、ドラマ『危険な関係』で俳優としての活動もスタートし、多数のCMに出演するように。2002年からは『真相報道番組バンキシャ!』でキャスターを務め、2003年には第27回エランドール賞新人賞や第40回ゴールデン・アロー賞放送賞を受賞した。2017年以降、長らく現場を離れていたが、10月10日より公開される映画『種まく旅人~醪のささやき~』にて主演を務める。
 
 
 
(取材:2025年8月)