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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

 

自身が遠ざけていたものにこそ
新たな発見が隠されている
俳優 別所哲也

 
大学在学中から舞台に出演し、1990年、日米合作映画『クライシス2050』でハリウッドデビューを果たした別所哲也さん。以来、俳優として30年以上第一線での活躍を続けている。そんな別所さんが「これまでとはまったく違う別所哲也をお見せできるのではないか」と語るのが、6月21日から世田谷パブリックシアターにて上演される音楽劇『ある馬の物語』だ。「トルストイ原作の古典作品を、どのように現代に蘇らせるのかが楽しみ」だと話す別所さんに、演劇の魅力や、仕事への価値観などをうかがった。
 

全員で答えを生み出すのが醍醐味

 
トルストイ原作の『ある馬の物語』(原題「ホルストメール」)を、現代にどのように蘇らせるのかは、俳優として一つのチャレンジだと感じています。演出の白井晃さんが描いた図を、僕たち俳優がどのように肉体で表現していくのか。とても楽しみですね。現代とはまったく違う世界観ですが、今でも通ずるメッセージがある作品だと思っています。
 
『ある馬の物語』は、成河さんの演じるホルストメールという馬が主人公です。馬と人間は、どの時代においても使役の関係にありました。僕が演じる公爵は、ホルストメールの才能に気付き、買い取る人物。そんな公爵の持つ所有欲や鬱積した思いを、どのように表現していこうかと試行錯誤しています。
 
そういったストーリーに加え、音楽劇であることが『ある馬の物語』の魅力ですね。音楽の持つ跳躍力はすごいですよ。音楽があることで、世界が大きく広がり、情景のイメージもしやすくなると思っています。
 
トルストイの作品は、当時とても前衛的だと言われていました。時が流れて、現代においてその世界観や表現はどう感じられるのか。劇場内で時空を超えるような感覚を得られるのではないかと思っています。さらに、こういった古典作品は演出や世界観がアレンジされても、そこから生まれてくるおもしろさがありますよね。トルストイがこの『ある馬の物語』を観劇したら、びっくりするかもしれない(笑)。
 
舞台の魅力は、正解がないことです。みんなで答えを生み出していくことが醍醐味だと思っています。演じる側が正解だと感じでも、お客様はそうでない場合もありますよね。そんな中で、お客様と一緒に心地良い空間をつくり上げられたときに、大きな喜びを感じるんですよ。サウナでいう、「ととのう」という感覚でしょうか(笑)。その感覚を、毎回追い求めています。
 
 
 
 
 

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