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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

 

劇場で観客と空間を共有し
共に作品をつくり上げる

 
5月13日~6月7日まで、東京・渋谷のPARCO劇場で上演される舞台『佐渡島他吉の生涯』(※)。そのタイトルにもなっている佐渡島他吉を演じるのが、俳優の佐々木蔵之介さんだ。関西弁で演じられる喜劇、『佐渡島他吉の生涯』について「笑いとは緻密な計算のうえで落とし込んでいるもの」だと語る佐々木さん。これまでのご経験もうかがいながら、舞台作品の楽しさや難しさについてお聞きした。
 
 

たくましさを観客に見てもらいたい

 
舞台『佐渡島他吉の生涯』は、大阪下町の佐渡島他吉という男の、30~70代までの40年を描いた作品です。舞台上で他吉として40年間を演じることになるのですが、一人の男の人生を40年も生きるということはあまり多くはありません。まるで大河ドラマなみですが、登場人物たちは大阪下町の市井の人々。僕は、移りゆく時代を必死に駆け抜けた人力俥夫を演じます。
 
今年の1月に開場した新生PARCO劇場のオープニング・シリーズとして『佐渡島他吉の生涯』を上演すると最初に聞いたときは戸惑いました(笑)。関西弁の作品というのも驚きました。でも、演出を務める森新太郎さんから「他吉のたくましさを描きたい」とうかがい、「よし! やってみよう」という気持ちになったんです。
 
この舞台は、1905年に他吉がフィリピンで出稼ぎをしているところから始まります。その後、帰国して妻子の暮らす大阪・天王寺にある河童路地(がたろろじ)で生活するようになります。他吉は「人間、体を責めて働かな一人前になれへん」と口癖のように語り、最期までそれを体現するのです。でも、生活は一向に向上しない。それでも、他吉は泣いて笑って生き抜きます。そんな人間のたくましさに触れてもらえたら。
 
効率や合理的であることが求められる現代に、他吉のように生きている人はなかなかいないでしょう。さらに、隣近所とも付き合いが少なくなった今と比べて、他吉の生きる河童路地にはプライベートなんてモノがない場所です。かつてこんな時代があって、こんな人がいたんだなと興味を持っていただければ嬉しいですね。
 
今回のキャストは、僕も含めほとんどが関西出身です。関西の芝居はイントネーションだけではなく、身体全体で刻む、あのリズムがいい。そこをなんとか関西圏出身の役者さんに助けてもらいたいという森さんのお考えですね。単純にイントネーションが完璧というだけでなく、関西特有のリズム感やグルーヴ感というのがあるので、その空気感みたいなものは関西圏の出身同士だと共有しやすいと思いますし、おもしろさは出てくるかなと思います。
 
それと、関西弁はちょっとしたやりとりの会話でも笑いが生まれる。でも、ただただ可笑しいわけでもない。もの哀しいから笑うときもある。笑い飛ばして生き抜く。関西弁の持つそういう“チカラ”を体感してもらえればと思っています。
 
 
 
 
 

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