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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

知の身体性を教え、学ぶ
創造的なリーダーを育てる

 
 
精神力としての知性を鍛えるうえで、「古典」 とされる本を読み、「マイ古典」 を編纂することを、齋藤氏は強く勧める。精神力は言葉の概念の力に支えられる面が大きいからだ。書物を通じて、あるいはリスペクトする人物の言葉に触れて、自分に響いてくるテキストをストックする努力が、現代のビジネスリーダーには欠かせない。
 
 

精神力は言葉が支える

 
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 『論語』 でも 『資本論』 でも、自分の精神を支えてくれる座右の書を持っているリーダーはやっぱり強いと思います。全部読むのが難しければ拾い読みでもかまいませんから、自分に “来る” 言葉に出会ったら、ぐるぐる丸を付けて覚えてしまって、人と話す時に使ってみてください。
 本の他に、自分がリスペクトする人の言葉でもいいです。私の場合は、レアルマドリードの監督であるモウリーニョの言葉にはすごく影響されます。そうやって、テレビを見ていても本を読んでいても、気に入った言葉を見つけたら自分の 「古典ラインナップ」 にどんどん加えてください。そのうちにインテリジェンスが鍛えられていくのを実感するはずです。
 
 
 
リーダーが備えるべき素養と、その鍛え方をうかがう中で、最後にどうしても聞いてみたいテーマがあった。「仕事を祝祭として感じること」 についてだ。――どんな人でも、なんらかの事情で、仕事を単なる作業ないし労働へ自ら貶めてしまうような時があるだろう。そこからもう一度仕事を楽しめるようになるため、齋藤メソッドの要でもある 「祝祭」 は、どんなふうに力を貸してくれるのだろう。
 
 

仕事と祝祭の関係

 
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 仕事と祝祭の関係は、最初にクリエイティブについてお話したことに通じると思います。何かと何かの間に新しい意味づけができると、「お、おもしろいぞ」 ってなりますね。それをどう祝祭化するかというと、拍手です。具体的に手を叩いて拍手するところから始める。教師はこのあたりの機微をよく知っていますから、子どもを教える時は手を打ちながら、拍手しながら教えます。子どもの発言が的外れでも、「それもあるよね」 と。大人のリーダーだって同じです。まず拍手。「いいね! ありだね!」 って手を叩いて褒めたり、ハイタッチみたいなのもいいじゃないですか。そうやって場を暖めましょう。
 宮沢賢治が教えていた盛岡中学校に、卒業生に向けて彼が書いた詩の断章が残っています。
 
「この四ヶ年が
わたくしにどんなに楽しかったか
わたくしは毎日を
鳥のやうに教室でうたってくらした
誓って云ふが
わたくしはこの仕事で
疲れをおぼえたことはない」
 
 仕事って、ない状態よりある状態のほうが絶対におもしろい。教室で生徒に教えることは賢治の仕事でしたが、彼はそれを 「鳥のように歌って暮らした」 と感じていました。たとえ内容が地味でも、新しい仕事のやり方が見つかって、みんなでそれを褒めあっている瞬間って、やっぱり祝祭だと思いますよ。
 
 
 
 
(インタビュー・文 筒井秀礼 / 写真 Nori)
 
 
 
 

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