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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

『「闘志力。」―人間「上原浩治」から何を学ぶのか―』を
企画編集者が語る

 
 
 
私が大切にしている『我慢』という言葉にはさまざまな意味が含まれているが、それは畢竟、“己の甘さと闘う”という根本的な命題に帰着すると思う。――
(『闘志力。』「はじめに」より)
 
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上原 浩治 (著) 本体1575円(税込)
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 上原選手の背番号は、日本のプロ野球で投げていた頃から一貫して 「19」 だ。これが、大学入学前の1年間、ボールを握ることすらできず、将来が見えない不安にさいなまれながら浪人生活を送った19歳の一年間を忘れないようにと自ら背負った十字架であることは、野球通のあいだではよく知られた事実である。
 「上原選手のことを思うとき、逆境にあっても投げ出さず、現在の自分に自信を持って、堂々と不遇の時代を生き抜いていく人の強さを感じるんです。ご自分でも “雑草魂” という言葉をいわれますが、いろいろな分野で停滞が続く今の時代にあって、非常に力強いメッセージを発信してくれる方だと思いますね」
 上原選手の著書 『闘志力。』 の出版元である創英社/三省堂書店編集2部部長の齋藤勝美氏はそう語る。同社の 「メッセージコンテンツ」 企画は、政治・スポーツ・エンターテインメント・音楽ジャンルの著名人と共に、「時代の閉塞感を打破し、明日への “勇気と感動” を伝えることで人々を活気づける」 という趣旨で社会にメッセージを発してきたシリーズだ。『闘志力。』 には、野球に夢中になった少年時代のこと、浪人時代の一年間と大学時代のこと、読売ジャイアンツと国際試合における野球日本代表のエースとして活躍した時代のことなどが書かれている。メジャーリーグに挑戦してからの第六章と第七章には、相次ぐ故障にみまわれながら心を折らずにリハビリを続け、2010年後半からは不動のクローザーに定着するなど、変わらない “闘志力” を見せる上原選手のことも書かれている。
 
 
「どれだけ自分を律し、どれだけ辛抱して頑張れるか。意志の強さは、必ず結果に表れる」
「逆境は、闘志で乗り越えるもの。体がどれだけ傷付いても、心が折れなければ必ず復活出来る」
「我慢とは、もう一つ踏ん張って辛抱すること。そして、一歩引いて自分を見詰め直し、自分の心を動かすことだ」
 「失敗しても、ピンチに陥っても、それは人生の中での通過点に過ぎない。焦ることなく確実に自分の足場を固め、近いところから目標を立て、再起の一歩を踏み出せばいい」
 「中途半端になることだけはしたくない。恐がって力を抜くのは、決してプラスにはならない。最後は思い切り向かって行く、勇気と強い意志 “闘志力” しかない」
(『闘志力。』目次より)
 
 
 
 昨年末、ボルチモア・オリオールズと Koji Ueharaは契約を更新した。この号が出る2月には上原選手はアメリカに渡り、メジャー3年目のシーズンに向け準備を始めているだろう。「背番号19」 のユニフォームに腕を通し、19歳の頃の自分を思い出しながら――。
 「企業の活動も人の生き方も、ウソやごまかしが利かなくなって、言い訳できない世の中になってきている気がします。逆に言えば、結果に責任を持つ勇気と覚悟があれば、いろいろなことを自分の意志で前向きに挑戦していい時代になってきたと思うんですよ。私自身、上原選手の 『怪我を恐れるあまり、プレーが、ピッチングが、中途半端になってしまうことだけはしたくない。恐がって力を抜くのはマイナスにこそなれ、決してプラスにはならない』、そして、『最後は思い切り向かって行く、勇気と強い意志 “闘志力” しかない』 という言葉に、すごく勇気づけられました」――齋藤氏はそう語る。
 
体のケガ、心のケガ、自分を取り巻く環境のケガ(逆境)。プライベートでもビジネスでも、一時の不遇に悩まされることが増えている今の時代に、人間「上原浩治」から学ぶものは大きいに違いない。 
 
 
 

(取材・文 編集部)

 
 

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