医療的なケアはもちろん
生活に寄り添う訪問看護
患者が生活しやすいよう、ひと手間を加える

石黒 看護学生は学ぶことが多くハードだと聞きますが、素晴らしいバイタリティですね。そこから訪問看護へ進まれたきっかけはなんだったんですか?
足立 病棟で働いていた当時、あまりの忙しさで患者さん一人ひとりに対して丁寧な対応ができないことに葛藤を感じていたことがきっかけです。特に急性期の病棟では、次から次へとさまざまな処置の対応に追われる毎日でした。そんな中で、退院後の患者さんがどんな生活を送っているのか、元気に暮らしておられるのか、どうしても気になるようになりまして。そこで、病院の中だけではなく、在宅で療養を続ける方にもっと寄り添えるような仕事がしたいと思うようになり、訪問看護の道へ進んだんです。
石黒 同じ看護でも、病院と在宅では求められるものが大きく違いそうですね。
足立 おっしゃる通りです。実は訪問看護を始めた当初は「私は向いていないかもしれない」と思ったほどなんですよ。例えば、病院なら当たり前にある医療用の器具などは、当然ながら一般の住宅にはそろっていません。そのような限られた環境の中で、患者さんに対してどのように看護すれば良いのか、最初は本当に戸惑いましたね。でも、そこでわかったのは、訪問看護には正解がないということなんですよ。その人が本当はどう生きたいのか、本当に望んでいるものは何なのかによって、かかわり方が全く変わってくるんです。

足立 そうなんです。だからこそ、私たちは“プラスアルファ”のサービスを大事にしており、通常の看護業務だけでなく、患者さんに「何か困っていることはないですか」と一声をかけるようにしています。そのうえで、例えばご飯を温めやすい状態に準備しておいたり、ペットボトルの蓋を開けやすくしておいたり、患者さんが日常生活を過ごしやすいように、ほんのひと手間を加えるんですよ。私は、患者さんが困った時に真っ先に顔が浮かぶような、“頼りになる近所のおばちゃん”みたいな存在でありたいと思っています(笑)。

