400字の物語が育てる
心に根付く自己肯定感
演劇的手法でコミュニケーション力を育てる

武田 そうですね。私が特に課題を感じていたのは、子どもたちのコミュニケーション力の積み上げでした。学年が上がるにつれ、表現することにためらいを覚える子が増えていく状況を何とかしたいと思っていたんです。
亀山 私も子どもたちと接していて、年齢とともに自分の殻をつくってしまう子は多いと感じます。
武田 そうなんです。中学校の学年主任を務めていた頃、学年会議で「演劇的な手法を学習の時間に取り入れてみよう」と相談したのが始まりでした。その後、教育委員会に異動となり、その時点では実践できなかったものの、のちに校長として小学校に赴任した際に挑戦することにしまして。3年間かけて全学年で実践するようになりました。これは段階的にコミュニケーション力を高める取り組みで、学期ごとに1回、当初は私自身がこのワークを行いました。
亀山 校長先生自らが授業をされるとは驚きです。演劇的な手法を学びに取り入れようと思ったきっかけは何だったのでしょう。
武田 セリフだけで状況がわかるような台本を書くには、その子自身の経験や感情が必要です。それらを深掘りしながら、それぞれの登場人物の気持ちを考えて、物語をつくる。これが、子どものコミュニケーション力の向上に役立つと思ったんです。
亀山 なるほど。子どもたちの個性を引き出すことにもつながりそうです。この取り組みは先生にとっても学びになりそうですね。
武田 ええ。このワークでは教員のファシリテート力を高める効果も大きいんです。というのも、子どもたちが書いた400字スキットを肯定的に捉え、価値付けを行う必要があるので、教員自身にも「相手の表現を受け止め、良い面を探す姿勢」が求められます。この授業を通して、子どもたちが「先生やクラスメイトたちが自分を肯定的に見てくれる」と感じることで、心理的安全性の高い教室づくりにもつながっていきました。
亀山 子どもたちの反応はいかがでしたか?
武田 授業中は本当に楽しそうでした。その子自身の作品や他の子が書いた作品に対して、「私はこう思ったけれど、あの子は違う考えなんだ」と気付くことが、他者意識の芽生えにつながります。驚いたのは、小学2年生の子どもたちに400字スキットを書かせたとき、全員が時間内に書けたことですね。子どもたちは本来、自身の感動を伝えることが好きなんです。だからこそ、「他者は自己と感じ方が違う」「その違いをどう伝えれば届くか」という部分を育てることが大切だと思っています。
亀山 なるほど。子どもたちの個性を引き出すことにもつながりそうです。この取り組みは先生にとっても学びになりそうですね。
武田 ええ。このワークでは教員のファシリテート力を高める効果も大きいんです。というのも、子どもたちが書いた400字スキットを肯定的に捉え、価値付けを行う必要があるので、教員自身にも「相手の表現を受け止め、良い面を探す姿勢」が求められます。この授業を通して、子どもたちが「先生やクラスメイトたちが自分を肯定的に見てくれる」と感じることで、心理的安全性の高い教室づくりにもつながっていきました。
亀山 子どもたちの反応はいかがでしたか?
武田 授業中は本当に楽しそうでした。その子自身の作品や他の子が書いた作品に対して、「私はこう思ったけれど、あの子は違う考えなんだ」と気付くことが、他者意識の芽生えにつながります。驚いたのは、小学2年生の子どもたちに400字スキットを書かせたとき、全員が時間内に書けたことですね。子どもたちは本来、自身の感動を伝えることが好きなんです。だからこそ、「他者は自己と感じ方が違う」「その違いをどう伝えれば届くか」という部分を育てることが大切だと思っています。

