B+ 仕事を楽しむためのWebマガジン

経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

400字の物語が育てる 心に根付く自己肯定感
一般社団法人ここで 代表理事 武田正道

 
プロフィール 大阪市出身。出版社勤務を経て、1989年に中学校の常勤講師として教育の世界へ進む。大阪市で12年、枚方市で9年の教諭を務めたのち、教育委員会指導主事や教頭を歴任。2021年に枚方市立西長尾小学校の校長に就任し、全学年で演劇創作活動(「400字スキット〔戯曲創作〕」等)を用いた創作表現教育を導入した。退職後、(一社)ここでを設立し、ロールプレイング型のワークショップを通じて子どもの対話力や自己肯定感を育む活動を行っている。
 
 
 
大阪府枚方市で、創作演劇やワークショップを通じて子どもの情操教育を支援する一般社団法人ここで。代表理事を務める武田正道氏は、30年以上にわたって教育現場で教員・指導主事・校長などを歴任してきたベテランの教育者だ。中学校教諭時代に演劇部をつくるために出逢ったワークショップが、子どもの心を豊かに育てるのに最適だと気付いたのだという。教育の現場を離れてもなお、子どもたちの心の成長を支える武田代表に、教育への熱い思いを聞いた。
 
 
 

400字の作劇で子どもの豊かな心を育む

 
glay-s1top.jpg
インタビュアー 亀山つとむ(野球解説者)
亀山 大阪府枚方市を拠点に、ロールプレイング・ワークショップを通じた教育活動を行う一般社団法人ここで、代表理事の武田正道さんにお話をうかがいます。お聞きしたところ、演劇的な手法を用いたカリキュラムだそうですね。
 
武田 はい。もともと私が演劇部をつくるために学んだ内容がヒントになっていまして。それを小学生から高校生までを対象に、発達段階に合わせて無理なく実践できるようアレンジしています。
 
亀山 私も小中学生に野球指導をする機会が多いので、非常に興味があります。具体的にはどのような内容なのでしょう?
 
武田 小学1~2年生ではジェスチャーゲームを通じ、動物をはじめとしたさまざまなものになりきったり、グループで場面をつくったりするなど、身体を使って表現しながら他者と関わる体験を通じてコミュニケーションを学びます。そして、3~4年生以降は400字スキットという寸劇創作ワークに挑戦するんです。これは、400字詰め原稿用紙1枚分の台本を子どもたち自身が書き、登場人物2人・ト書きなしの対話というルールのもと、セリフだけで物語をつくるんです。さらに上級学年では、その台本を使ってグループで演劇として発表します。創作を通じて他者理解や自己肯定感を育むカリキュラムとなっています。