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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

家具から大道具まで製作 オーダーメイド木工職人
中村工芸 代表 中村徹

 
プロフィール 東京都出身。高校卒業後、音楽のバンド活動をしながら大道具製作会社のアルバイトを経て正社員として入社。舞台やイベントの木工製作に携わる。その後、30代で建築の世界に入り、大工修業を始めた2005年に中村工芸を創業。さまざまな施工に携わる中で家具職人に転身した。現在は東京都内を中心に、店舗什器やオーダーメイド家具、木工製品の設計・製作などの業務を行っている。
 
 
 
東京都あきる野市で家具や什器、大道具製作などを手がける中村工芸。代表の中村徹氏は、ものづくりを心から愛する経験豊富な職人だ。舞台やイベントの大道具の製作から、伝統構法による住宅建築、オーダー家具の製作まで、さまざまな経験を積んできた中村代表は、「仕事は楽しまないともったいない」と語る。そんな中村代表に、華やかな表舞台をあくまで裏方として支える誇りと、仕事へかける熱い思いを聞いた。
 
 
 

大道具・大工・家具製作の技を融合

 
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インタビュアー 水野裕子(タレント)
水野 東京都あきる野市を拠点に、大道具製作や什器・家具の製作を手がける中村工芸さん。木材と大型の機械もある工場で圧巻ですね! 中村代表の歩みから教えていただけますか。
 
中村 もともとは大道具の製作会社に勤務し、イベント、テレビ番組などのセットやデパート催事や店舗内装を手がけていました。しかし、大道具は使い終わるたびに解体してしまうので、当時はせっかくつくったものを壊してしまうことに虚しい気持ちになってしまったんです。そこで、作ったものが長く残り続ける家作りに興味を持ち、伝統構法で建築する工務店に弟子入りしました。ただ、周囲の職人たちは高校卒業してすぐにこの業界に入った方が多く、私はその当時30代にして末の弟子であり、まさにゼロからのスタートだったんです。
 
水野 なるほど。やはり同じものづくりでも、使う技術は異なりますもんね。
 
中村 おっしゃる通りです。その工務店では3年ほどお世話になり、家一棟を墨付けできるほどにはなりました。その後大工として独り立ちして数件住宅を請け負いましたが、家作りは自分には規模が大きすぎると感じ、徐々に事業内容を変えてもともと好きだった家具作りをメインにしたんです。現在では、これまでの経験の中で得た技術を融合し、家具や什器、イベント向けの木工製作なども行っています。
 
水野 大道具製作と家作り、そして家具製作と、それら異なる技術をすべて兼ね備えておられる方はなかなかいないと思います。現在の中村代表のお仕事内容が、ますます気になってきましたよ!