幼少期から良質な出汁に親しみながら育つ

インタビュアー 宍戸開(俳優)
森 そうなんです。ご家庭で手軽に、本格的な和だしを楽しんでいただきたいという思いで開発しました。私はもともと静岡県の出身でして。県内には日本でも有数の漁港が多いこともあり、幼少の頃から新鮮な魚介類や、かつお出汁に親しんできました。特に私の実家では曾祖母が毎日のように本枯節を使って出汁を取り、お味噌汁を作ってくれていたんです。
宍戸 本枯節といえば、カビ付けと天日干しを繰り返して熟成させた最高クラスのかつお節ですよね。幼少期から日常的においしい出汁に親しんで育ったとは、羨ましいなあ。
森 今になって考えてみると贅沢な子ども時代でしたね(笑)。でも、私や家族、地域の人々にとっては、かつお節から取った出汁はそれほど身近な存在だったんです。ところが、近年では量産品のパック出汁や顆粒出汁などが主流になり、各家庭で本格的な出汁を味わう機会が少なくなりました。それで、日本古来の食文化が失われつつあることに懸念を抱くようになったんです。